富士ソフト、モバオクを買収 DeNA・KDDIから株式取得でデジタル戦略を強化

富士ソフトが、ネットオークションサービス「モバオク」を買収すると、2025年3月31日に発表した。
DeNAおよびKDDIからモバオクの全株式を取得し、同事業を自社の傘下に収める。
モバオクは、スマートフォンを活用したオークションサービスとして一定の市場シェアを持つ。今回の買収により、富士ソフトはデジタルビジネスの強化を図る狙いがあるとみられる。
買収の背景と市場への影響
富士ソフトは、ソフトウェア開発やITインフラ構築を主力事業とする企業であり、近年はデジタルサービス分野の拡大を進めている。その一環として、ネットオークション市場に参入する動きを見せた。
モバオクは、かつて携帯電話向けオークションとして人気を博し、現在もスマートフォンアプリを通じて若年層を中心に利用されている。だが、「メルカリ」や「ヤフオク!」といった大手サービスとの競争が激化し、成長の鈍化が指摘されていた。
今回の買収により、富士ソフトはモバオクの既存ユーザー基盤を活用し、デジタルプラットフォーム事業を強化する考えだ。特に、富士ソフトの技術力を活かし、AIやデータ解析を活用した新たなオークション、フリマサービスを展開させていく予定だ。
なお、具体的な買収額や取得した株式の詳細は現時点では公表されていないようだ。
今後の展望 富士ソフトのモバオク活用法
富士ソフトによるモバオク買収は、単なるオークション事業の拡大にとどまらない可能性がある。
富士ソフトはクラウド技術やAI開発を強みとし、企業向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を展開している。この技術をモバオクに導入できれば、パーソナライズされたレコメンド機能や、不正取引の検出精度向上など、新たな付加価値を提供できると考えられる。
また、CtoC(個人間取引)以外の市場開拓も視野に入る可能性がある。
たとえば、企業が在庫処分品やリユース商品を直接販売するBtoC(企業対消費者)モデルの導入、さらにはNFT(※)など、新たなデジタル商材の取り扱いも想定できる。
富士ソフトにとって、モバオクの買収はデジタルサービスの拡大戦略の一環であるといえる。
この買収が成功すれば、富士ソフトはデジタルサービス市場において重要なプレイヤーになる可能性があるだろう。
※NFT(Non-Fungible Token):ブロックチェーン技術を活用したデジタル資産の一種。唯一性と所有証明が可能で、アートやゲームアイテムなど多岐にわたる用途がある。