日立産業制御ソリューションズ、生成AI搭載の「SmartFAM Ver.4」を発表 設備保全の効率化へ

2025年3月31日、日立産業制御ソリューションズは設備・資産管理システムの最新版「SmartFAM Ver.4」を4月に販売開始すると発表した。
本システムは、生成AI連携機能を新たに搭載し、設備保全業務の効率化を図ることを目的としている。製造業やインフラ企業を中心に導入が進む見込みだ。
生成AIで変わる設備保全 「SmartFAM Ver.4」の新機能とは
今回のアップデートでは、従来の設備保全管理機能に加え、新たに生成AI連携機能を搭載した点が大きな特徴となる。生成AIは蓄積されたテキスト形式の保全データを基に、類似する過去の事例を抽出し最適な対応策を提示する。
これにより、熟練技術者が不在でも、若手技術者が迅速かつ的確に設備の復旧対応を行える環境が整う。システム設定には簡易モードとアドバンスモードの2種類が用意されており、技術者のスキルレベルに応じた変更が可能だ。
さらに、新バージョンでは保全計画機能も強化された。
設備の点検・修理の予定と実績データを比較し、最適な保全スケジュールを提案する。これにより、過剰なメンテナンスを抑えつつ、重大な故障を未然に防ぐことができる。
加えて、他システムとのデータ連携機能も刷新している。異なるシステム間でデータフォーマットを調整し、円滑な情報共有を実現することで、企業全体の保全業務の効率化が期待される。
市場戦略と今後の展望
設備保全のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きが加速する中、同システムの導入により、企業はメンテナンスコストの削減や業務最適化を実現できるだろう。
特に、上下水道や道路、エネルギー分野における老朽化設備の管理において、高い需要が見込まれる。
同社は2026年度までに600システムの販売を目標としており、国内市場だけでなく海外展開も視野に入れている。特にアジア市場では、インフラの整備が進む中で設備管理の高度化が求められているため、「SmartFAM Ver.4」の導入が進む可能性がある。
今後、さらなる機能拡張が計画されている。
生成AIを活用した異常検知機能の強化や、IoTセンサーとの連携によるリアルタイムモニタリング機能の追加が検討されているという。
技術者不足が深刻化する中では、AIによるノウハウの蓄積・継承が、企業の競争力向上につながると期待される。
設備管理のデジタル化が加速する今、「SmartFAM Ver.4」は、企業の業務効率化と技術者育成の両面で、大きな役割を果たすことになりそうだ。