総務省、「Pinterest」など4サービスを情プラ法指定 誹謗中傷対策で規制対象拡大へ

2025年5月30日、総務省はインターネット上の誹謗中傷対策を目的とした「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」に基づき、「Pinterest」「Amebaブログ」「爆サイ.com」「ニコニコ」の4サービスを新たに規制対象として指定した。
国内外の主要プラットフォームへの対応が進んでいる。
「Pinterest」など4サービスを新たに規制対象に指定
総務省は5月30日、「情報流通プラットフォーム対処法」に基づく大規模特定電気通信役務提供者として、Pinterest Europeが運営する「Pinterest」、サイバーエージェントの「Amebaブログ」、湘南西武ホームが手掛ける「爆サイ.com」、ドワンゴの「ニコニコ」の4サービスを新たに指定したと発表した。
この動きは、インターネット上における誹謗中傷や違法・有害情報の拡散への対策を強化する一環として行われたものだ。対象となったサービスはいずれもユーザー数が多く、匿名性が高い投稿環境を提供している点が共通している。
今回の指定により、各サービスは投稿削除の迅速化や対応方針の透明化など、一定の管理義務を課されることになる。
すでに4月30日には、「YouTube」「Facebook」「Instagram」などを含む5社の複数サービスが指定されており、今回で2度目の追加発表となる。
総務省は今後も運用状況を見ながら、対象事業者を段階的に拡大していく方針を示している。
対応強化で表現の自由とのバランスも課題に
今回の指定拡大は、インターネット上の悪質な投稿による人権侵害を抑止し、健全な言論空間を確保する狙いがある。
特に「爆サイ.com」や「ニコニコ」など匿名掲示板や動画配信サイトにおける投稿内容が問題視されており、被害者救済を早める制度整備が急務とされている。
一方で、表現の自由とのバランスをいかに取るかは、引き続き課題である。
対象サービスが抱える多様なユーザー層の声を無視して一方的な規制を進めれば、過剰な検閲や運営側の負担増につながる懸念もある。
特に、海外企業が提供するサービスでは、日本の法制度との調整にも一定の課題が残ると考えられる。
総務省は「透明性報告書」の公表や削除対応の統計提出を求めることで、外部からの検証も可能にする仕組みを導入している。プラットフォームの社会的責任を明確にしつつ、透明性のある規制運用を目指しているようだ。
今回の発表により、国内の大手サービスだけでなく、海外発の人気プラットフォームも網羅され始めた。
こうした動きが健全なネット利用環境の形成につながるか、今後の実効性と国際的な連携の強化が問われる局面に差し掛かっているといえる。