Googleが子ども向けAI「Gemini」を公開 保護者管理が必須

米Googleは2025年5月1日(米国時間)、13歳未満の子ども向けの「Gemini」の段階的な公開を開始した。本サービスは、保護者が管理するアカウントを持つ子どもに限定して利用可能で、創造的な学びを促進する一方、安全性に配慮した機能制限が施されている。
子どものための「Gemini」が始動
子ども向けの「Gemini」で利用可能な機能は、楽曲や物語、詩の作成、質問への回答、宿題の手伝いなど、創造性や学習をサポートするものに限定される。
だが、これらの機能にも制限が設けられており、大人向けのGeminiと同等の自由度は持たない。例えば、センシティブな内容や誤情報の拡散につながる可能性のある問いには応答しない仕様となっている。
子どもがGeminiを利用するには、「gemini.google.com」またはAndroid/iOSアプリからアクセスする仕組みだ。
利用条件として、Googleアカウントが保護者によって管理されている必要がある。これにより、アプリの使用状況やアクセス制限の設定が「Googleファミリーリンク」(※)から行えるようになっており、保護者による監督体制が強化されている。
設定をオフにしている場合、子どもがGeminiを開こうとすると「お使いのアカウントではご利用いただけません」と表示され、使用自体がブロックされる。
現在の段階では、Geminiの子ども向けバージョンはすべてのアカウントで利用可能ではない。対象ユーザーは段階的に拡大されており、今後、より多くの家庭で導入される見通しである。
※Googleファミリーリンク:Googleが提供する保護者向け管理ツール。子どもの端末利用時間、アプリの使用、位置情報などを一元管理できる機能を提供する。
教育×AIの主戦場へ 子ども向け「Gemini」 の可能性と課題
Geminiの段階的導入は、家庭内教育とAI技術の融合が本格化しつつあることを示している。既存の教育用アプリやデジタル学習ツールとは異なり、Geminiは生成AIとして双方向性を重視している点が特徴だ。
子ども自身が質問を投げかけ、返答を得る中で自発的な思考力を育む構造は、従来の受動的学習モデルを大きく変える可能性を秘めている。
一方で、懸念も少なくない。AIが提供する情報の正確性や偏り、あるいは利用時間のコントロールといった課題は、保護者の理解と関与が不可欠となる。ファミリーリンクによってある程度のコントロールは可能とはいえ、技術の進化速度に家庭が追いつけるかどうかは課題である。
今後、Geminiが家庭教育のインフラとして定着するには、保護者のリテラシー向上と、継続的な機能改善が不可欠だ。段階的公開というアプローチは、こうした課題に対する慎重な姿勢の表れとも読み取れる。
教育とAIの接点において、Googleが主導する新たな標準が生まれつつある。