AI Overviews導入で6割が自然検索流入減を実感 SEOと広告に変化

2025年5月29日、株式会社キーワードマーケティングが実施した調査により、Google検索の「AI Overviews(AIによる要約表示)」機能によって、自然検索流入が減少したと感じているマーケターが全体の61.9%に達していることが明らかになった。
日本国内の325人を対象としたインターネット調査で、SEO施策や広告運用に対する見直しが加速している。
自然検索流入に影響 6割以上が減少を実感
調査対象のマーケターに「AI Overviews(※)の導入後、自然検索からの流入数に変化があったか」を聞いたところ、「明確に減少した」との回答が19.4%、「減少したと感じる」が42.5%で、計61.9%が流入の減少を認識していた。
対して、「特に変化を感じない」は21.5%にとどまり、流入が増加したとの回答は15.1%に過ぎなかった。
こうした変化を受け、多くの企業がSEO施策の見直しを進めている。
「既にリソース配分を変更した」とする回答は33.2%、「見直しを始めている」とする回答が57.8%に上り、影響の大きさが窺える。
具体的な対応としては、「FAQや構造化データ(FAQPage、HowToなど)の追加・最適化」(57.4%)が最多で、「独自データ・一次情報を活用したコンテンツ作成」(46.3%)など、AIに取り上げられやすい情報構成へのシフトが進んでいる。
SEOにおいて最も重視されている指標については、「自然検索経由のコンバージョン数(お問い合わせ、購入など)」であることも明らかになった(32.9%)。
次いで「特定キーワードの検索順位」(26.2%)、「自然検索からのセッション数(アクセス数)」(24.9%)と続き、流入だけでなく成果の質が問われる状況にある。
SEO指標の変化と広告戦略への波及
一方で、「AI Overviews」が検索広告にも及ぼす影響についても調査された。
「強く影響を受けている」「やや影響を受けている」を合わせると計72.0%に達し、「特定語句の表示回数・クリック数減少」(66.7%)が最も多く挙げられている。
こうした背景から、全体の93.2%が「AI Overviewsへの広告挿入」に対して関心を示しており、新たな広告フォーマットへの期待が高まっている。
キーワードマーケティングは、「企業はAI Overviewsによる検索環境の変化に対応しつつ、効果的な施策を模索している段階にあるといえます。当面は既存施策を維持しつつ、R&D的な取り組みを並行して進めるバランスが求められる時代だと考えます。」とコメントしている。
検索行動がAIによって再編されつつある現在、SEOという概念自体の再定義が求められているのではないだろうか。
既存の枠組みに固執するのではなく、AIを含めた「検索体験全体」を見据えた情報提供設計へと、視座の転換が必要だろう。
※AI Overviews:Google検索結果において、AIが複数のWebページ情報を統合し要約表示する機能。