Google WorkspaceがAI「Gemini」で進化　Gmail返信やMeet通訳がよりパーソナルに

米Googleは2025年5月20日（現地時間）、年次開発者会議「Google I/O 2025」の基調講演で、Google Workspaceの大幅なAI機能強化を発表した。AIモデル「Gemini」を活用し、業務の効率とパーソナライズ性が大幅に向上する見通しだ。

Google Workspaceが「Gemini」でメール・会議の利便性を革新

Googleは、Gmailにおける返信機能「スマートリプライ」を大幅に強化した。従来は短文の自動提案にとどまっていたが、新機能ではユーザーの過去のメール履歴やGoogleドライブ内の文書を参照し、表現のクセやトーンに合わせた返信案を生成できる。

また、「Gemini」を活用した自然言語指示機能により、たとえば「昨年の未読メディアメールを削除して」といった指示で不要なメールを自動処理できるなど、受信トレイの整理が容易になる。この機能は7〜9月期に提供される予定である。

Google Meetには、話者の声や表情のニュアンスを保ちながらほぼリアルタイムで翻訳する「speech translation」機能が追加される。
まずは英語とスペイン語に対応し、今後数週間以内に対応言語の拡充が予定されている。2025年後半にはビジネス向けの早期テストが開始される見込みだ。

Google Vidsでは、Googleスライドの資料をプレゼン動画に変換する機能に加え、不要な言葉の自動削除や音声レベルの調整機能、AIアバターを使った動画作成も導入される。

このほか、Googleドキュメントでの関連資料を参照したライティング支援機能や、Workspace全体で最新の画像生成AI「Imagen 4」も利用可能になる。

ビジネス効率化とパーソナライズ深化で差別化進む一方、運用リスクも

Google WorkspaceのAI強化は、ビジネスパーソンの作業効率を大幅に改善すると同時に、業務のパーソナライズ化を一層推進する可能性が高い。

特にGmailのスマートリプライの精度向上は、メール返信にかかる時間短縮やコミュニケーションの質向上に直結する。
Meetのリアルタイム音声通訳は、多言語チームの壁を低くし、グローバル展開の加速を後押しする。
AIアバターによる動画作成支援や音声編集機能は、オンラインプレゼンテーションの質を引き上げ、非対面コミュニケーションの利便性を高めるだろう。

ただし、AIの判断に依存することでプライバシーやセキュリティの管理がより重要となる。
特にパーソナライズ返信は過去の個人情報を大量に参照するため、情報漏洩リスクの対策が不可欠だ。
導入に際しては、ユーザー教育や運用ルールの整備が求められる。

今後、Google WorkspaceのAI技術はビジネス現場の「当たり前」となりつつあり、競合他社との差別化要因になると考えられる。AI時代の働き方を象徴するツールとして、その導入動向が注目される。