キヤノンITSの画像AI連携プラットフォーム「Bind Vision」に新機能 地図と画像で現場情報を直感的に共有可能に

2025年4月8日、キヤノンITソリューションズ株式会社(キヤノンITS)は、画像AI連携プラットフォーム「Bind Vision」に新機能「カスタムマップ」を追加したと発表した。
地図上での画像・テキスト管理により、現場業務の情報共有を革新する可能性がある。
視覚情報を地図で管理、「カスタムマップ」で業務の現場力が向上
キヤノンITソリューションズが展開する「Bind Vision」は、画像解析AIシステムの開発に不可欠なWebシステム部分をクラウドサービスとして提供している。
画面表示、データの送受信、認証機能やセキュリティなど、煩雑な周辺機能を一括でカバーする点が特徴で、SIerやAIベンダーがコアとなるAI開発に集中できる環境を整えている。
今回提供が開始された新機能「カスタムマップ」は、地図上の任意の地点に画像とテキストデータを登録できる機能だ。
設備点検やインフラの現場確認、防災活動の記録など、ロケーションに紐づいた情報を直感的に可視化できる。
情報はスマートフォンからも登録可能で、外出先でも即時に反映される仕様となっている。
また、用途ごとに複数のマップを作成・運用できるため、道路管理、防災対応、観光施設の点検といった多様な現場で柔軟な運用が可能だ。
登録されたデータはクラウド上のダッシュボードで可視化され、8種のコンテンツ表示形式から選択できる。
情報の一元管理が可能となり、業務の一貫性とスピードの向上に貢献するだろう。
Bind Visionの価格体系は、基本プランが月額30,000円から、画像利用が1件あたり月額1,500円、カスタムマップは1件あたり月額1,000円となっている。
カスタムマップの利用には同数の画像利用契約が必要で、用途に応じた柔軟なプラン設計が求められる。
防災から公共インフラ管理まで幅広く応用
「カスタムマップ」のユースケースとしては道路や交通安全施設の点検、防災現場での活用が想定されている。
たとえばアラート通知後の現地状況を即時に記録し、マップ上に蓄積していくことで、対応状況の把握や報告業務の効率化が図れる。
これまで複数のシステムで管理されていた情報を、ひとつのマップに統合することで、業務の重複や伝達ミスを軽減できるだろう。
今後は登録情報のアップロードやダウンロードに対応したAPI(※)の提供が予定されており、他システムとの連携や、自動化による業務改善が視野に入っている。
一方、導入が進むにつれ、個人情報や現場情報の取り扱いに関する倫理的・法的な検討も求められることになるだろう。
視覚情報を扱う以上、関係者のプライバシーや情報セキュリティに対する配慮は不可欠になる。
防災、公共インフラ、流通、観光といった領域で、空間情報と画像AIの融合が持つポテンシャルは大きい。
今後のアップデート次第では、地理情報を軸とした新たなデータ活用が加速するポテンシャルを秘めている。
※API(Application Programming Interface):アプリケーション同士を連携させるための仕組み。データの送受信や操作を自動化することで、業務の効率化が可能となる。