2023年版、Gartner社「日本における未来志向型インフラ・テクノロジーのハイプ・サイクル」を考察する

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「ハイプ・サイクル」は、ガートナージャパン株式会社 (以下Gartner)社 より発表される特定の技術やトレンドが時間とともにどのように進化するかを示す理論的なモデルです。ハイプ・サイクルは通常、新しい技術が市場に導入されたときの期待、受け入れ、そして成熟を描写するために使用されます。

2023年8月にWeb3やNFT等今後の日本に大きな影響を与える技術を含む「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」が発表されたので、以下考察します。

目次

ハイプ・サイクルとは

ハイプサイクルとは、横軸に時間、縦軸を期待度をとし、テクノロジーが登場した後の動きを黎明期、過度な期待のピーク期、幻滅期、啓発期、生産性の安定期に分類し、視覚的に説明するものです。

新たに登場したテクノロジーに対して、テクノロジとアプリケーションの成熟度と導入状況、およびテクノロジとアプリケーションが実際のビジネス課題の解決や新たな機会の開拓にどの程度関連する可能性があるかを理解しやすく図示しています。

  • 黎明期: 潜在的技術革新の開始期であり、初期の概念実証 (POC) 関連のニュースやメディア報道により、大きな注目が集まります。多くの場合、使用可能な製品は存在せず、実用化の可能性は証明されていません。
  • 「過度な期待」のピーク期: 初期の宣伝では、数多くのサクセスストーリーが紹介される一方で、失敗を伴うものも少なくありません。当該技術を使用する企業はそれほど多くありません。
  • 幻滅期: 実験や実装で成果が出ないため、関心は薄れます。テクノロジーの創造者らは再編されるか失敗することが多く、生き残ったプロバイダーにおいて、ユーザーの満足のいくように自社製品を改善した場合に限り投資は継続します。
  • 啓発期:テクノロジーが企業にどのようなメリットをもたらすのかを示す具体的な事例が増え始め、理解が広まります。第2世代と第3世代の製品が、テクノロジー・プロバイダーから登場しますが、保守的な企業は慎重なままです。
  • 生産性の安定期: 当該技術の主流な採用が始まります。プロバイダーの実行存続性を評価する基準がより明確に定義されます。テクノロジの適用可能な範囲と関連性が広がり、投資は確実に回収されつつあります。

2023年8月に「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」が発表されましたので2022年との比較と共に具体的に見ていきましょう。

日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル

2023年(上)と2022年(下)のハイプ・サイクルを表示しています。これらを用いて考察していきましょう。

2023年で新たに追加された項目について

2023年では新たに下記9項目が追加されました。

①生成AI:新しいデータ(テキスト、画像等)を人間風に自動生成するAIの技術
②分散型アイデンティティ:個人が自身の情報を管理・コントロールするデジタルIDシステム
③サステナビリティ管理ソリューション:企業が環境・社会的責任を遵守・管理するためのツールやプログラム
④デジタル免疫システム:ネットワークやシステムを自動的に保護し、脅威から守るセキュリティシステム
⑤LLMプラットフォーム・サービス:膨大なデータから機械学習により、生成や解析を行う自然言語処理モデル
⑥ポスト量子暗号:量子コンピュータの攻撃に耐えうる次世代の暗号技術
⑦空間コンピューティング:3D空間上でのデータの解析やインタラクションを可能にするコンピューティング技術
⑧量子機械学習:量子コンピュータを用いて高速に複雑な計算を行う、機械学習のアプローチ
⑨商用核融合炉:核融合エネルギーを安全かつ効率的に発電するための工業規模の施設

この中で過度な2023年現在「過度な期待」のピーク期にある①生成AIと②分散型アイデンティティを見ていきましょう。

特にOpenAIが2022年11月に公開したChatGPTを筆頭に①生成AIの台頭が顕著であり、2023年現在「過度な期待」のピーク期にあります。文章生成のChatGPTや画像生成のMidjourney、動画生成のPictory、音声生成のSpeechify等種々の生成AIが誕生しています。そして日々これらのAPIを使用した様々なWebアプリケーションが開発されています。

また、ChatGPTに追随するようにGoogle社やMeta社等も参入し、現在様々な大規模自然言語モデルが登場しており⑤LLMプラットフォーム・サービスが新たに追加され黎明期にあります。

②分散型アイデンティティ (Decentralized Identity: DID) は、ユーザーが分散型識別子を使用して様々なサービスに接続し、自分自身で (自己の) アイデンティティ情報を管理することを可能にするものであり、トラスト、プライバシー保護、セキュリティの3つを確立することにより、サービスごとにプロバイダがIDを管理する従来のモデルに替わる認証手段として位置付けられ注目されています。

次に2022年には「過度な期待」のピーク期にありましたが2023年には幻滅期に来ているWeb3、NFT、メタバースについて見ていきましょう。

Web3

Web3は、非中央集権の概念を念頭にブロックチェーン技術で国境を越えることができる次世代の分散型のインターネットとして注目され、分散型アプリであるDApps、分散型金融DeFi、自立分散型組織DAOの多くのプロジェクトが立ち上がりました。その一方で、パブリックブロックチェーンに関わる種々の課題、当局による規制やスキャムやスパム等のセキュリティの問題よりブームは終焉しつつあります。

しかし、2023年現在も一定数のユーザーに使用され動いているDApps、DeFi、DAOもあるため、今後市場が成熟するにあたり、非中央集権の概念とマッチする業界/分野を手を動かし参加しながら見極めることが大切です。

NFT

NFT(非代替性トークン)については、インターネット上のデジタルデータを所有することができるという特徴からデジタルアートに火がつき、音楽、映像メディア、バーチャル不動産、ゲーム内アイテム等幅広くデジタル資産の所有権を証明するトークンとして機能しています。その一方で、実用性の観点や実態のプロジェクトの発生により、NFTが出始めた当初よりは取引量が減少しています。

今後はなぜ、デジタル上の資産を所有している証明をする必要があるのかを考えることで社会実装に繋がり、必要とされるNFTが生まれていくと考えられます。

メタバース

メタバースについては、現実世界とは異なるもう1つの世界の中で生活できるという魅力があり話題となりました。しかし、種々のバーチャル空間同士が繋がっていなかったり、VRゴーグルを使用する習慣が定着せず、現在はまだまだゲームの一部というところから脱却できていない状態となっています。

その一方で、バーチャル空間はリハビリとして使用され患者の身体機能の向上に寄与したり、エンタメにて非日常体験を味わえることが人気となっています。そのため、現実世界と組み合わせた中でどのような価値を生み出せるかがメタバース普及の鍵となります。

ハイプ・サイクルから見るテクノロジーの将来性について

ハイプ・サイクルにおいて共通して言えることは、幻滅期にある技術を用いてどのように世の中に価値を出していくことかできるかを考えることが大切であるということです。「過度な期待」のピーク期にある技術は、その技術自体が話題となり触れるユーザーも多くなり、多くのプロジェクトも生まれやすいです。それが幻滅期になると、技術の凄さのみで続いていたプロジェクトは存続しにくくなります。ユーザーも離れていく中で、当該技術がどのように世の中に実装されるかを本気で考え実装した人が啓発期や生産性の安定期における勝者となると考えています。

そういう意味では、Web3、NFT、メタバースにこのタイミングで参入することで、多くのチャンスを得ることができます。また、異業種(Web2、Web1と呼ばれる職種)から参入することで、新たな視点が生まれるため、より多くのチャンスを掴むことができると言えるでしょう。今後社会実装に向かっていくこれらの技術に少しでも興味がある人はまず、Web3、NFT、メタバース業界にはどのような職種があるかを知るところから始めてみましょう。そこには未経験からでも、活躍できる環境がきっとあるはずです

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