FIFAのNFT戦略が転機を迎える 「FIFA Collect」がEVM互換「FIFA Blockchain」へ移行

2025年4月30日、国際サッカー連盟(FIFA)はNFTプラットフォーム「FIFA Collect」を、EVM互換の新チェーン「FIFA Blockchain」へと移行する計画を発表した。実施予定日は5月20日以降で、ユーザーはウォレットの変更など一部対応が求められる。
EVM互換で拡張性を強化 FIFA Collectが自前のブロックチェーンへ移行する理由
FIFAが2022年にアルゴランドと連携して立ち上げたNFTプラットフォーム「FIFA Collect」は、主にサッカーファン向けに試合の名場面や選手のデジタルコレクティブルを提供してきた。
今回、アルゴランドを離れ、自前の「FIFA Blockchain」へと移行することで、プラットフォームの自由度と将来性を大きく広げる構えを見せている。
新チェーン「FIFA Blockchain」は、Ethereum Virtual Machine(EVM)(※)互換で構築されており、EthereumベースのDApps(分散型アプリケーション)やウォレットとの互換性を持つ点が大きな特徴だ。
MetaMaskなどの一般的なWeb3ウォレットに対応することで、ユーザーがより多様な機能をシームレスに利用できる環境が整えられる見込みだ。
また、処理速度の向上や新機能の導入も視野に入れており、NFTの転送や売買、ゲーム連携といった次世代機能を導入する足掛かりとなる。
移行に際しては、現行のアルゴランドベースのウォレットはサポート対象外となり、EVM互換ウォレットへの切り替えが必要になる。なお、FIFA Collect上で購入済みのNFTは全て保持され、特別な移行手続きは不要とされている。
注意点として、移行当日は約12時間のダウンタイムが発生し、USDCの残高は以降使用できなくなる点が挙げられる。
※EVM(Ethereum Virtual Machine):Ethereumネットワーク上でスマートコントラクトを実行するための仮想環境のこと。EVM互換とは、この仕組みを他のブロックチェーンでも再現できる技術的互換性を指す。
NFT戦略の布石か FIFA Rivalsと連動する次世代Web3体験の展望
FIFAのNFT(※)戦略がEVM互換の「FIFA Blockchain」へ移行することは、今後のWeb3エコシステムにおいて重要な転機となると考えられる。特に、FIFA Rivalsとの連携が進むことで、NFTを活用した新たなゲーム体験が実現する可能性が高い。これにより、サッカーファンやゲーマーの間でのNFTの普及が加速するだろう。
また、EVM互換による相互運用性の向上は、他のマーケットプレイスとの連携を促進し、NFTの流動性や価値を高める要因となるだろう。Openseaなどの既存のEthereum系NFTマーケットでの流通が進むことで、FIFA CollectのNFTがより広範囲に取引されるようになると予想される。
今後、FIFAがどのようにこの新しいプラットフォームを活用し、ユーザーに対して魅力的な体験を提供していくのかが注目される。特に、NFTのエクスポートやインポート機能が強化されることで、ユーザーの選択肢が広がり、より多くの人々がNFTに関心を持つようになるのではないだろうか。
※NFT(Non-Fungible Token):ブロックチェーン上に構築可能な、非代替性トークン
https://plus-web3.com/media/nft-marketplace-nft/