FastLabel、生成AI開発を支援する6つの新サービスを提供 日本語データの質と量に挑む

2025年4月9日、FastLabel株式会社は、生成AI開発における日本語データの課題解決を目的とした「汎用モデル向けデータセット提供」「インストラクションデータ作成」「ファインチューニングサービス」「RAG向けデータセット提供」「RAGデータ作成」「RAGデータ最適化コンサルティング」の6つの新サービス提供を開始した。
生成AI開発に特化した包括的サービス群、日本語データの不足に対応
FastLabelが今回発表した6つの新サービスは、国内生成AI開発を本格支援するための戦略的な一手といえる。特に注目すべきは、日本語の言語データに特化している点であり、英語圏と比べて量・質ともに課題の多い日本語データの整備に焦点を当てている。
各サービスは、モデル学習のための素材提供から、生成精度を高めるためのファインチューニング、そして検索強化を実現するRAG(リトリーバル拡張生成 ※)支援まで、生成AIの開発と実用化を一貫して支える構成となっている。
具体的には、画像・動画・音声・テキストなど多様な形式の汎用データセット提供から、指示文と模範出力によるインストラクションデータ作成、専門領域向けのファインチューニング支援が含まれる。
RAG対応では、外部データの検索性向上のためのデータセット提供に加え、文書やCSVからの情報抽出とベクトルDB登録支援、さらに構造化の最適化に関するコンサルティングも行う。
これらの施策は、日常会話・ネットスラング・流行語といった口語表現の欠如を克服するためのものだ。SNSやチャットなど、現代的な日本語のニュアンスを捉えるデータの需要は急速に高まっており、その供給基盤を整える意味でも大きな価値を持つと言える。
生成AI市場に広がる日本語需要、FastLabelの布石と今後の展望
生成AIの需要が世界的に拡大する中、日本語対応の精度向上は業界全体の重要課題となっている。特にビジネス応用の現場では、高精度な日本語生成や専門領域への適応力が求められており、FastLabelのサービスはこうしたニーズに的確に応えている。
同社の提供するファインチューニング支援やコンサルティングは、汎用モデルに対する依存から脱却し、より実務的かつ実践的なAI運用へと導くものと考えられる。
また、生成AIが単なる言語モデルではなく、ナレッジを引き出すツールとしての役割を担い始めている今、RAG対応の強化はタイムリーな戦略と言える。
将来的には、日本語に特化した大規模生成AIモデルの開発基盤となる可能性もある。現時点では企業向けのBtoB展開が中心だが、収集したデータや生成モデルの成果をオープンに活用する動きがあれば、国内の生成AIエコシステム全体の活性化にもつながるだろう。
FastLabelの取り組みは、単なるデータ提供に留まらず、生成AIの品質と応用範囲を拡張する鍵となりうる。ビジネス・学術・行政など、幅広い分野において、日本語AIの地盤を支える存在として今後さらに注目される可能性ある。
※RAG(Retrieval-Augmented Generation):生成AIモデルが外部データベースから関連情報を取得しながらテキストを生成する技術。検索精度と文脈理解を高めるための重要手法。