イーサリアム、3月予定の「ペクトラ」でインフレ率増加か　現在はマージ前の水準に

イーサリアムの供給量が2023年1月以来の水準まで増加し、3月に予定される「ペクトラ」アップグレードでさらなるインフレ率の上昇が懸念されている。この動向は、2024年2月7日時点での最新の分析結果に基づいている。

マージ後のデフレ期待に反し、供給量増加が顕著に

2022年9月に実施されたマージアップグレードにより、イーサリアムはプルーフ・オブ・ステーク（PoS）（※）に移行した。この変更で供給量のデフレ化が期待されたが、現実は異なる様相を呈している。

2月6日時点で、イーサリアムの供給量は2023年1月以来の水準にまで増加した。この動きは、デフレ期待に反するものであり、市場に少なからず影響を与える可能性がある。

供給量の増加は、一般的に価格の下落要因となりうるため、投資家の間で懸念が広がっている。

この背景には、2024年3月に行われた「デンクン」アップグレードの影響も指摘されている。

デンクンでは、レイヤー2ソリューションの手数料を下げる機能が導入された。これにより、バーンされるイーサリアムの量が減少し、結果としてインフレ率の上昇につながる可能性がある。

※プルーフ・オブ・ステーク（PoS）：仮想通貨の取引を検証する方式の一つで、保有する通貨量に応じて採掘権が得られる仕組み。従来のプルーフ・オブ・ワークと比べ、消費電力を大幅に削減できる。

ペクトラアップグレードがもたらす影響と市場の反応

3月に予定されている「ペクトラ」アップグレードは、イーサリアムのインフレ率にさらなる影響を与える可能性がある。

アナリストの間では、このアップグレードにより供給量がさらに増加するのではないかとの見方が強まっている。一部の専門家は、この動向がイーサリアムからソラナなど他の仮想通貨への資金移動を促す要因になるとも指摘している。

市場関係者の間では、今後のイーサリアムの価格動向に対する警戒感が高まっており、ペクトラアップグレードの詳細と実施後の影響を注視する必要がある。イーサリアムの開発チームは、これらの懸念に対応するため、供給量の管理とネットワークの効率化のバランスを取る方策を模索している様子だ。

イーサリアムの供給量とインフレ率の動向は、投資家にとって重要な指標となるだろう。

今後の展開次第では、イーサリアムの長期的な価値提案や市場での位置づけに大きな影響を与える可能性がある。