イオン、従業員向けAI端末を導入　数万枚のマニュアルを学習したAI端末で業務効率化へ

イオンリテールは2025年5月15日、関東・北陸信越・東海・近畿・中四国の約390店舗に、AIを活用した新端末「オールインワンデバイス」を5月29日から導入すると発表した。
あわせて、数万ページのマニュアルを学習した生成AIによる従業員支援チャットボットも6月より実装する。

AIと高性能スキャン搭載の新端末が約390店舗に導入

イオンリテールは、従来複数の機器で行っていた店舗業務を一台で完結できる「オールインワンデバイス」を5月29日から順次導入する。
加えて、業務マニュアルや法令を学習した「AIアシスタント」が6月より新機能として提供される。
これにより、従業員は一度のログインで「AIカカク」「AIオーダー」「MaIボード」「商品位置検索システム」「AIアシスタント」などの複数システムを横断的に操作できるようになる。

AIアシスタントは、店舗での顧客対応において新人や若手の業務負担軽減を目的に開発された。イオンラウンジ利用案内、免税対応、落とし物受付、公共料金支払い、株主優待説明など、日常的な問い合わせに数秒から十数秒で回答できる。

さらに同端末には3種類のスキャン機能が搭載される。
「文字スキャン」は商品の賞味期限を読み取り、期限が近づいた際に担当者に通知を行う。
「一括スキャン」は複数バーコードを同時に読み取り、在庫確認や価格変更の効率化に貢献。
「長距離スキャン」は高所や奥のバーコードを離れた場所から読み取れるため、従業員の負担軽減が図られる。

業務効率化と今後の展望

新端末とAIアシスタントの導入は、イオンのDX戦略の一環だ。店舗業務の効率化と従業員支援によって、サービス品質の向上が見込まれる。特に新人教育や人手不足解消への効果は大きいと考えられる。

まずは約390店舗で実証運用が行われる予定だが、成果次第では全国展開が進むとみられる。

一方、AIによる回答の正確性や端末運用の安定性には引き続き改善の余地が残されている。現時点で全ての問い合わせ対応をAIに任せることは現実的ではなく、人とAIの協働が今後も基本となるだろう。

今後の展望としては、AIアシスタントの学習データの拡充や多言語対応の強化による顧客サービス品質の向上があげられる。
さらに、現場のフィードバックを基に機能改善が進めば、作業負担のさらなる軽減や従業員満足度の向上も実現すると考えられる。

デジタルと現場の融合による業務革新がどこまで進展するのか注目される。