AIが絵本選びをサポート　横浜市中央図書館に「おやこフロア」新設、親子の対話を促進へ

2025年4月22日、横浜市中央図書館がリニューアルに伴い、新たに「のげやま子ども図書館 おやこフロア」を先行開設する。AIによる絵本推薦や親子で過ごしやすい空間設計が特長で、乳幼児と保護者を対象に、子ども主体の読書体験が提供される予定だ。

親子に寄り添う次世代型「おやこフロア」が目指すもの

横浜市中央図書館の改装に伴い新設される「のげやま子ども図書館 おやこフロア」は、AIと親子体験を融合させた全く新しい読書空間である。対象は乳幼児とその保護者に限定されており、読書が生活の中に自然と溶け込むような環境が整備されている。

目玉となるのが、NTTコミュニケーション科学基礎研究所との共同研究により開発された絵本推薦AIシステムだ。
ロボット「Sota（ソータ）」と連動し、子どもが直感的に絵本を探せる「ぴたりえタッチ」と、保護者が子どもの発達や興味に応じて選べる「ぴたりえ」の2つのAIシステムが導入される。
質問形式のやり取りを通してAIが約7,000冊の中から絵本を推薦する仕組みとなっており、2026年度末まで実証実験として運用される予定だ。

オープン当日からは乳幼児向けに「パウ・パトロールのとしょかんパスポート」が配布され、スタンプを集めるとプレゼントがもらえるという特典も用意されている。先着2,000冊という限定配布は、来館のきっかけとして強い集客力を持つだろう。

開館時間は9時30分から17時（開設初日の2025年4月22日は午後2時オープン）で、休館日は月1回の施設点検日、年末年始、特別整理期間に限られる。

AI導入により、図書館が地域の“知育ラボ”に

図書館にAIシステムを導入することで、子育てに役立つ情報や本を効率的に見つけられることは明確なメリットだろう。
また、今後はAIの利用状況や読書傾向のデータを分析し、より高度なパーソナライズが行えるようになる可能性もある。
全国の公共図書館にとっても、モデルケースとなり得るだろう。

また、赤ちゃんと一緒に座って読み聞かせができるスペースや、声を出しても問題ないオープンな空間などが用意されたことも注目に値する。
「図書館は静寂が必須である」という常識を一歩進め、乳幼児期の自由な表現と学びの場として再定義された空間と言えるだろう。

親子に寄り添った設計と最先端AI技術の融合により、「おやこフロア」は単なる図書館の一部ではなく、地域の未来を形作る文化拠点としての存在感を放ち始めているのではないだろうか。