AIが教員業務を変革 生徒所見の作成を支援するツール「EduCopilot」リリース

2025年5月12日、Yui Connection株式会社とアルサーガパートナーズ株式会社は、生成AIを活用した生徒所見作成支援サービス「EduCopilot(エデュコパイロット)」を提供開始した。
通知表や指導要録作成の効率化を目指し、教員の負担軽減と教育現場の質向上を支援することが狙いだ。
AI活用で所見作成の業務負荷を軽減 結-ENシステムとの連携で学級経営を支援
「EduCopilot」は、生徒所見作成の省力化を目的に開発されたAI支援ツールである。
教員が事前に設定された質問に回答するだけで、通知表や指導要録などに活用可能な生徒一人ひとりに適した生徒所見を自動生成できる。
開発には、EduCopilotが所見作成する際のもとになる学級経営支援システム「結-EN」を提供するYui Connectionと、システム開発やAI活用に強みを持つアルサーガパートナーズが共同で取り組んだ。
「結-EN」は、82項目の児童生徒の様子を教員が記録し、個別の教育プランに活用することが可能だ。
これらのデータを元に所見文が生成されるため、客観的で一貫性のある内容が期待できる。
さらに、結-ENは教育情報を全教員で共有することが可能であるため、学校内での情報共有が容易になり、学年やクラスを超えた連携による包括的な指導が可能になる。
導入形態は自治体単位から学校単位、さらには学校長の許可を得た個人利用にも対応する柔軟な仕様となっている。
教育AI市場の拡大を見据え、個別最適化型学習支援AIへの進化も視野
「EduCopilot」の提供開始は、生徒所見作成にとどまらず、今後のAI活用型教育支援ビジネスの布石ともいえる。
アルサーガパートナーズは今後、生徒個別の理解度や特性を踏まえた学習支援AIの開発も計画しており、AIが教員の業務を補助する領域はさらに広がる見通しだ。
教育現場では、教員不足や働き方改革が課題となっており、こうしたAIサービスは教員の時間的余裕を生み出すとともに、児童生徒への個別対応の質を高める効果が期待される。
一方で、AIに依存しすぎることによる教員のスキル低下や、生徒の個性を見落とすリスクも考えられるため、適切な運用とバランスが求められる。
また、無料プランの提供によって導入ハードルは低いものの、本格導入にあたっては学校ごとのニーズ分析や導入効果の測定が不可欠になるだろう。
「EduCopilot」は、教育AI市場の成長を促す一方で、AI導入による教育現場の変化を慎重に見極める試金石となりそうだ。