横須賀市教委、教員の負担軽減へDX化加速　AIで採点や文章作成支援

神奈川県横須賀市教育委員会は、2025年2月25日、教職員の業務負担を軽減するため、教育現場のデジタルトランスフォーメーション（DX）を強化すると発表した。
2025年度から市立学校において、期末テストの自動採点サービスや学級通信などの文章制作を支援するAIサービスを導入する。
教職員の長時間勤務の解消、特に、採点業務や学級通信制作に関する負担軽減が期待されている。

教員の負担軽減に向けた横須賀市教育委員会の取り組み

横須賀市教育委員会は、教職員の長時間勤務が教育現場における喫緊の課題であると認識し、2022年に「スクールスマイルプラン」という働き方改革の方針を策定した。
このプランの一環として、教職員の労働環境に関するアンケートが実施された結果、業務負担の軽減を求める声が多く寄せられた。
特に、採点業務や学級通信の作成は、教職員の負担が大きい業務として挙げられている。

こうした背景から、横須賀市教育委員会は、AIを活用した自動採点サービスと文章制作支援サービスを導入する。
自動採点サービスは、中学校と高校で導入される予定で、テストの解答用紙と模範解答を専用ソフトに登録し、回収した生徒の解答用紙をスキャンすることで、選択式の正誤をAIが瞬時に判定する。なお、記述式の回答については、教員が手動で採点を行う予定だ。
上記に加えて、得意・苦手分野の集計や成績データの管理も可能となる。

一方、文章制作支援サービスは、学級通信などの文章作成をAIが支援するもので、教職員は文章作成にかかる時間を短縮できる。
これらのサービス導入により、教職員は生徒と向き合う時間や授業準備に充てる時間が増えると期待される。

AI導入による教育現場の未来

横須賀市教育委員会の取り組みは、教職員の負担軽減だけでなく、生徒の学習効果向上にもつながる可能性がある。AIによる迅速な採点・集計により、教員は生徒の習熟度を即座に把握し、適切なフィードバックを迅速に行うことができる。これにより、生徒は自分の弱点を早期に克服し、学習意欲を高めることができる。

また、AIの導入は、教育現場におけるDXを加速させる。
横須賀市の取り組みは、他の自治体にも波及効果をもたらす可能性があり、全国的な教育改革の一環として注目されている。今後は、ＡＩを活用した教育コンテンツの開発や、生徒一人ひとりに合わせた個別最適化された学習支援が実現するかもしれない。

ただし、AIの導入には課題もある。
AIはあくまでツールであり、教員の役割を代替するものではない。教員は、AIを活用しながらも、生徒とのコミュニケーションや個別指導を大切にし、生徒の成長をサポートする必要がある。また、教職員への研修やサポート体制の整備が不可欠である。

教育現場におけるDXの推進が、教職員の働き方改革、そして生徒の学習効果向上につながるのか、今後の動向が注目されている。

※デジタルトランスフォーメーション（ＤＸ）： データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズに応える商品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務プロセス・組織・ガバナンスなどを変革し、競争優位性を確立すること

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