「ディープシーク」の利用制限が広がる中、中国が「科学技術の政治問題化だ」と反発

中国のスタートアップ企業「ディープシーク」が開発した生成AIの利用制限が各国で広がっている。この動きに対し、中国政府は「利用制限は科学技術の政治問題化だ」と強く反発した。
背景には、中国の国家情報法が企業に情報活動への協力を義務付けていることがあり、これが各国の懸念を引き起こしていると言える。この問題は、国際的なテクノロジー利用における信頼性や透明性、さらには国家間の政治的緊張を反映していると考えられる。

日本含む各国が利用制限、情報漏洩リスクに警戒

台湾のデジタル発展部は1月31日、公的機関やインフラ施設における中国企業ディープシークの生成AIサービス利用を制限すると発表した。イタリア政府も1月30日に同様の措置を講じている。

日本政府も個人情報の収集・保存に関する懸念から、政府機関に対して専門部署の助言を求めるよう指示を出した。

これらの動きの背景には、2017年に中国で施行された「国家情報法」がある。同法は企業に国の情報活動への協力を義務づけており、他国政府はこれを警戒している。

中国外務省が反発、国際的な緊張高まる

一連の利用制限に対し、中国外務省は強く反発している。

外務省は声明で「科学技術を政治問題化することに反対する」と主張し、各国の対応を批判した。

この問題は、国際的なテクノロジー利用における信頼性や透明性の重要性を浮き彫りにしていると同時に、先端技術をめぐる国家間の政治的緊張も反映している。専門家らは、こうした対立が技術革新や国際協力を阻害する可能性を指摘している。

今後、各国政府や企業は、AI技術の発展と国家安全保障のバランスを取ることが求められるだろう。特に、国際的な協力を促進するための枠組みが必要であり、各国が共通の基準を設けることが重要であると考えられる。