ブロックデーモン、DeFi強化に向けエクスパンド・ネットワークを買収 オンチェーンサービス拡充へ

2025年3月19日、米国のブロックチェーンインフラ企業ブロックデーモンは、分散型金融(DeFi)およびオンチェーン取引向けAPIを提供するエクスパンド・ネットワークの買収に合意したと発表した。
本取引により、同社はDeFi統合とデータアクセスの領域を一層強化する見通しである。
DeFiインフラ強化へ ブロックデーモンの戦略的買収
ブロックデーモンは、機関投資家向けにブロックチェーンノードやステーキング、カストディ機能などを提供するインフラ企業として知られている。
買収の相手となったエクスパンド・ネットワークは、分散型取引所の価格情報、流動性プールやウォレットの分析データ、スワップやレンディングといった取引機能を備えたAPIを開発・提供しており、DeFi(※)市場で一定の評価を得ているプレイヤーである。
今回の取引額は非公開とされているが、暗号資産系メディア「コインデスク」によれば、数百万ドル規模であると報じられている。
また、今回の買収はブロックデーモンにとって5件目の企業買収となる。過去にはデジタル資産のセキュリティ企業セピアや、オンランプとデジタルIDサービスのジェムなども取得している。
これらの積極的なM&A戦略は、同社が機関投資家に対する包括的なブロックチェーンサービスを構築しようとしている意図を示すものであると考えられる。
また、エクスパンド・ネットワークのAPI統合により、ブロックデーモンはより豊富なオンチェーンデータと流動性ソリューションへのアクセスを機関投資家に提供できるようになると見られている。
こうした進展は、デジタル資産運用における透明性と取引効率の向上を後押しするだろう。
※DeFi:中央管理者を介さずにブロックチェーン上で金融サービスを提供する仕組み。貸付や取引、資産運用などの機能がスマートコントラクトによって実現される。
DeFi領域の中核的存在へ進化なるか
ブロックデーモンの買収戦略は、DeFiインフラ領域におけるプラットフォーマーとしての地位確立を視野に入れた動きとみられる。
従来、ノード運用やステーキングなどの低レイヤーサービスに強みを持っていた同社が、データ可視化や取引機能のレイヤーに踏み込んだことで、機関投資家に対するトータルソリューション提供が可能になると考えられる。
今後の焦点は、買収によって得た技術をいかに既存サービスにシームレスに組み込むかにある。
とくに、ポートフォリオ管理やリスク分析といった運用支援機能の高度化は、伝統的金融機関の参入を後押しするトリガーになり得る。
ただし、業界全体としては規制整備の進展が避けて通れないだろう。
将来的にDeFiプロダクトに対して厳格な認可や報告義務が課されるようになれば、既存のAPI設計や運用スキームの見直しが必要となる場面も出てくると予想される。
したがって、柔軟性と適応力を備えた技術戦略が今後の成否を左右すると言えるだろう。