「DeepSeekショック」で、欧州にチャンスか 岐路に立たされるEU

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2025年2月2日、EUのAI規制法(AI Act)が施行され、欧州のAI産業は厳しい規制にさらされることになった。それにより、ただでさえ遅れが指摘されていたEUにおけるAI開発が、さらに鈍化するのではないかという危惧の声があった。

その最中、中国のAIスタートアップDeepSeekによる画期的な低コスト開発手法の実現が、規制とイノベーションの両立に悩む欧州企業に、新たな可能性を示している。

EUは規制を強めるのか、それとも低コストでの開発という波に乗るのか、現在岐路に立たされている。

目次

規制対応の動きと「DeepSeekショック」

2025年2月2日から施行されたEUのAI規制法(AI Act)は、欧州におけるAI開発と利用に関する世界初の包括的な法規制である。
この法律では、AIシステムをリスクレベルに応じて分類し、それぞれに応じた規制を設けている。特に重要な要件として、AIシステムの開発・運用に関わる従業員へのAIリテラシー教育の義務化、システムの安全性と公平性を確保するためのリスク評価の実施、そしてAIの判断プロセスの透明性確保などが定められた。
違反した場合、最大で年間売上高の7%または3,500万ユーロのいずれか高い方の制裁金が課される可能性もある。このような包括的な要件への対応は、大きなコスト増加要因となり、欧州でのAI開発の遅れを不安視する声もあった。

しかし、DeepSeekの登場により、この状況が一変する可能性が出てきた。DeepSeekの開発コストは100万トークンあたり0.10ドル(約0.097ユーロ)と、OpenAIの4.40ドル(約4.26ユーロ)と比較して圧倒的に低い水準を実現している。
さらに重要なのは、DeepSeekがオープンソースとして提供されることだ。

Overwatch AIのニキータ・カエシュコCEOは、「オープンソースモデルは、閉鎖的な商用モデルと比較して、透明性とデータ管理の面で優れており、EUの厳格なプライバシー規制下での使用に適している」と指摘する。オープンソースであることが、AI Actが求める透明性要件との親和性が高いという指摘があるのだ。

規制下での競争力強化 欧州の新たな挑戦

技術的な可能性は開かれたが、試験面での課題が顕著だ。
Visual Capitalistのデータによると、2013年から2023年までの欧州におけるAI関連の民間投資額は、米国の3,260億ユーロ、中国の1,010億ユーロと比較して、最も投資額の多い英国でさえ214億ユーロに留まっている。

参考 : https://www.eu-startups.com/2025/02/ai-in-the-eu-a-defining-moment-of-uncertainty-and-opportunity/

この投資格差を埋めるため、スタートアップを支援する機関Europe Startup Nations Alliance (ESNA)は、Best Practice Catalogueを通じて、資金調達の改善、イノベーションフレンドリーな規制環境の整備、ディープテック企業の支援など、具体的な施策を提示している。

欧州はいままでのところ、AIに関しては規制に動くことが多い。
イタリアでは1月29日、イタリアデータ保護当局の判断により、DeepSeekがアプリストアから削除され、現在に至っても利用できないままだ。
また、英国も世界に先立ち、児童保護に関するAI規制を強める法案に着手するなど、安全性を重視した動きが多い。

しかし、規制により競争力を失うリスクは常に存在する。特にDeepSeekがオープンソースで公開され、コストの問題が解決できる見込みが高い現在、規制を強めるのかどうか、欧州は難しい決断を迫られている。

参考 : https://plus-web3.com/media/aikiseihouseiteien20250205/

まとめ

欧州のAI産業は今、規制対応という新たな課題と、DeepSeekがもたらした機会という、相反する要素のバランスを取るという重要な岐路に立っている。

DeepSeekは、大規模な予算がなくても十分な性能を実現できることを示した。
「AI Actの規制要件を満たしながら、いかに欧州全体の競争力強化につなげていくのか」
その答えは、規制とイノベーションの調和を目指す、これからの取り組みにかかっているといえるだろう。

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