日鉄ソリューションズ、米Dataikuと提携 ユニバーサルAI基盤で日本企業のDXを加速へ

2025年4月9日、日鉄ソリューションズ株式会社(NSSOL)は、米国のAI企業Dataikuとの間で販売代理店契約を締結したと発表した。これにより、日本企業におけるAI導入とデータ活用の促進が加速される見通しだ。
Dataikuとの提携が示す、NSSOLのAI・DX支援戦略
日鉄ソリューションズ(NSSOL)はこれまで、150社以上の企業に対してAI導入を支援してきた実績を持つ。
今回の発表によれば、その豊富なノウハウに米DataikuのユニバーサルAIプラットフォーム(※1)を組み合わせることで、顧客のデータ利活用とデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進力を飛躍的に高める意図があるようだ。
これまで企業のデータ活用現場では、異なるプロセスごとに別製品を導入することで習得コストが増大し、アセットの管理やプロセスの分断が課題とされてきた。
DataikuのユニバーサルAIプラットフォームは、その構造的な問題を解消するために設計されており、ノーコードで操作可能なインターフェースや、Auto ML、統計手法のレコメンド機能も搭載している。これにより、ビジネスユーザーとデータサイエンティストの連携が加速し、社内のコラボレーション文化の醸成にも寄与できる。
また、DataikuがAI・データ活用における「ガバナンス(※2)」機能を充実させている点も大きな特徴である。
ビジネス現場では、データの透明性やアセットの再利用性が重要視されつつある。そうした中で、フロー上のすべてのプロセスを可視化し、社内の関係者間でリアルタイムに共有できるDataikuの機能は有効に働くだろう。
※1 ユニバーサルAIプラットフォーム:AI開発に必要なデータ処理・モデル構築・運用管理などを一元的に提供する基盤のこと。
※2 ガバナンス:企業内における情報管理・業務プロセス・意思決定の透明性や適正性を保つための統制体制を指す。
提携の先にある市場展望
今後、Dataikuを核としたAI分析基盤が日本企業において「標準インフラ」として定着していく可能性は高いと見られる。
特に、NSSOLがAI導入支援において150社以上の実績を持ち、専門チームを社内に擁している点は、Dataiku導入後のアフターサポートにも一定の信頼を与える材料になるだろう。
国内では、AIやDXに関して「全社展開が進まず、部門ごとに部分最適で止まってしまう」現象が長らく課題とされてきた。
今回のように、一元的で柔軟性を備えた基盤が導入されることで、企業のDXは「点から線」、そして「線から面」へと広がる契機となるだろう。
また、Dataikuが提供する100種以上のテンプレートやプロセッサーが、業界ごとの個別課題に対する迅速な対応を可能にする点は、製造業、金融、小売といった多様なセクターで、ユースケースベースのAI活用が進展することにつながるだろう。
ただし、これらの未来像が実現するためには、NSSOL自身が自社の支援体制をアップデートし続け、導入企業との継続的な伴走体制を築くことが求められると思われる。
将来的には、NSSOL自身がDataikuプラットフォームを軸としたAI活用の成功事例を創出し、それを広く業界に還元していけるかが鍵となるだろう。