AnthropicのAIアシスタント「Claude」が外部ツール連携強化

米Anthropicは2025年5月2日(現地時間)、AIアシスタント「Claude」において、外部ツール連携を可能にする「Integrations」と、調査能力を大幅に向上させた「Advanced Research」機能を発表した。
外部ツールと連携し調査スピードと質を両立 Claudeの進化が示すAIアシスタントの新たな地平
今回発表された「Claude」の新機能の一つは「Integrations」と呼ばれる外部サービスとの連携機能だ。
JiraやConfluence、Zapierなど、業務で多用される10の人気サービスと接続可能となった。
技術的には、Model Context Protocol(MCP)という仕組みによって、Claudeは外部ツールとの安全かつ柔軟な接続を実現している。
今後はStripeやGitLabなどへの対応も予定されている。
もう一つは「Advanced Research」と呼ばれる調査性能の強化だ。
従来のAIアシスタントでは難しかった複雑な調査にも対応可能となり、最大45分間かけて詳細なレポートを生成できる仕組みだ。
リクエスト内容に応じて調査時間を柔軟に使い分け、簡単なタスクであれば5~15分程度で完了する。
また、調査に用いられる情報源も広範にわたる。ClaudeはWebやGoogle Workspace、さらには外部アプリケーションとの連携を通じて、多角的に情報を収集。調査タスクを自動で細分化し、必要な情報を網羅的に集めたうえで統合し、信頼性の高いレポートとして提示する。
特筆すべきは、その出力結果に引用元が明記されている点で、ビジネスの現場で求められる再現性や透明性を確保している。
IntegrationsとAdvanced Researchは現在、Max、Team、Enterpriseプラン向けにベータ提供中で、Proプランにも近く展開される予定。Web検索機能についてはすでにすべての有料プランで利用可能となっており、Claudeのビジネスユースが加速しそうだ。
拡張するClaudeの可能性 多業種に広がる導入期待と進化のメリット・デメリット
今回のアップデートは、AIアシスタントが単なる会話ツールを超え、実務に即した支援を行う存在へと変わりつつあることを示している。
報告業務の高速化、ヒューマンエラーの削減、そして人手不足解消を担ってくれるだろう。たとえば営業部門では、HubSpotのCRMデータと連動して顧客別のレポートを生成する、あるいはカレンダー情報から会議サマリーを作成するなど、日常の煩雑な作業を軽減できるだろう。
一方で、AIがレポートを作成する過程の「透明性」がユーザー側からは見えにくく、誤情報や解釈ミスのリスクが完全に排除されているわけではない。
また、社内ツールとの連携に際してはセキュリティ上の制約やシステム構成の調整が求められるため、導入コストが高くなる可能性もある。
それでも、Claudeの進化が示す方向性は明確だ。AIが人間の業務を部分的に補完するフェーズから、主体的に業務の一部を担う存在へとシフトしている。
この流れは今後、AI導入がビジネス戦略の中核となる未来を予感させる。