Claudeが「音声モード」を実装へ 無料ユーザーにもウェブ検索機能を開放

2025年5月28日、米AI企業Anthropicは、自社の生成AIチャットボット「Claude」に音声モードを導入すると発表した。
さらに、従来は有料ユーザー限定だったウェブ検索機能を無料ユーザーにも段階的に提供する方針を示した。
音声と視覚のシームレスな統合を目指すアップデートで、生成AI市場の競争を加速させる可能性がある。
Claudeに音声モード追加
Anthropicは、生成AIチャットボット「Claude」において、音声による入出力を可能にする「音声モード」を数週間以内にiOSおよびAndroidアプリに実装すると発表した。
OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiといった競合製品の音声対応に追随する動きである。
音声モードの開発には、音声合成企業ElevenLabsと米Amazonも関与しており、2025年3月の段階で共同開発の意向が示されていた。
今回の発表で明らかになった機能には、「Claudeに話しかけて返答を音声で聞ける」「Claudeが話している間、要点を画面にテキスト表示」「音声とテキストの即時切り替え」「音声会話を通じ、GoogleドキュメントやGmailなどの外部サービスと連携」などが含まれている。
ただし、やり取りには回数制限があり、無料プランでは1日あたり20〜30件程度が目安とされる。
これは従来のテキストチャット時の制限と同等であり、利便性は向上する一方で、頻繁な利用には制約が伴う点には留意が必要だ。
音声対応で直感操作が可能に AI活用の裾野拡大へ
Claudeの音声モードは、従来のテキスト主体のチャット体験を刷新し、より直感的な操作を可能にする。
特に、視覚や手の操作が制限される状況下での利用価値が高く、ユースケースの拡張が見込まれる。
たとえば、運転中や料理中といった「ながら操作」においても情報取得やタスク処理がスムーズに行えるようになる。
生成AIの音声機能はすでにChatGPTやGeminiで実装されており、今後は音声による対話が標準的なインターフェースとして普及する可能性がある。
Anthropicも、プリセット音声のみを使用することでなりすましリスクを軽減するなど、セキュリティ面での配慮も強調している。
加えて、今回の発表では有料ユーザーに限定されていたウェブ検索機能の無料開放も明らかになった。
これにより、Claudeは情報収集能力を高めつつ、無料ユーザー層へのリーチを拡大し、さらなる市場浸透を狙う。
一方で、音声情報のプライバシー保護や誤認識による誤作動などの課題も考えられ、ユーザーとの信頼関係構築が重要になる。
特にClaudeは、ChatGPTやGeminiといった強力な競合が存在する以上、ユーザーとの信頼確保が必須といえるだろう。
今後は、音声モードを通じたAIアシスタントとしての利用がビジネスや教育、家庭といった多様な場面に広がることが予想される。