中国、株式市場の偽情報対策を強化 AIの影響で偽情報が拡散

2025年3月15日、中国政府系の中国証券報は、同国の証券監督管理委員会(CSRC、証監会)が株式市場における偽情報の取り締まりを強化すると発表した。市場の透明性を確保し、投資家の信頼を回復する狙いがあるとみられる。
AIによる偽情報拡散のリスクと中国当局の対応とは
中国の株式市場において偽情報は以前から問題視されてきた。特にAIの進展により、その影響が一層深刻化しているとみられ、市場の混乱を招く要因となっているようだ。
中国証券監督管理委員会は、警察およびサイバースペース規制当局とも連携し、株式市場における偽情報の取り締まりを強化するという。
証券報は、当局が「早期に厳しく取り締まり、問題の核心を突く」と発表した。
証監会は、株式市場で流れたうわさに対し、事実関係を明らかにする文書を発表するなど、積極的な対応を講じる方針を提示。また、投資家への教育を強化する考えも示している。
同日、上海証券報も、AIが偽情報を拡散し、投資家を欺いたり株価の操作に利用されたりする新たな手段になっていると伝えた。
中国では、生成AI「ディープシーク」の登場をきっかけに、個人投資家やファンドマネジャーが企業の評価や投資判断にAIを活用する動きが広がっているようだ。
一方で、AIが生み出す虚偽の情報によるリスクも顕在化しつつあると考えられる。
投資家保護のために誤情報対策が急務か
AI技術の進化は、投資判断の効率化という側面も持つと考えられる。投資家やファンドマネージャーは、AIを活用して企業分析や市場予測を行うが、同時にAIによって生み出された誤情報が市場の不安定要因となることは、今後も否めないだろう。
このため、規制当局はAIの活用を妨げることなく、不正利用を抑制するバランスの取れた対策を模索していると思われる。
今後、政府は技術開発と市場の健全性維持の両立を目指すと思われるが、新たな監視体制の整備や、投資家への情報提供の強化が急務であると言える。市場の透明性向上に向けた取り組みが早急に進められることを期待したい。