ChatGPT「Codex」、iOS版に登場 iPhoneでコードレビューが完結する時代へ

2025年5月19日、米OpenAIはiOS向けChatGPTアプリに、AIによるコーディング支援機能「Codex」を追加したと発表した。これにより、iPhone上でコードの確認や修正、プルリクエストの作成までを完結できるようになり、モバイル開発環境の利便性が大きく向上するとみられる。
iPhoneがコード編集ツールに 「Codex」がもたらす開発現場の変化
新たに搭載されたCodex機能は、自然言語での指示をベースに、開発者の作業を支援するAIエージェントである。
複数タスクを同時平行で処理する能力を持ち、ユーザーは単一のモバイル画面上から、編集、差分比較、修正指示、プルリクエストの作成までを一貫して行えるという。
作業対象はGitリポジトリと連携しており、クラウドベースの安全な隔離環境でコード操作が可能だ。
iOS固有の「ライブアクティビティ」機能を活用することで、進行中のタスク状況はロック画面上にリアルタイム表示される。
従来はデスクトップでの操作が前提だったコードレビューのワークフローが、iPhone単体で完結する環境に進化したことは、開発者にとって大きな変化といえるだろう。
この機能は、ChatGPTの「Pro」「Enterprise」「Team」ユーザーを対象に提供され、Web版では5月17日からプレビュー公開されていた。
バックエンドには大規模言語モデル「o3」をソフトウェアエンジニアリング向けに最適化した「codex-1」が用いられ、ユーザーは自然な文章でコードの生成や修正、また、バグに関する相談なども行える。
競争激化の中で問われるCodexの優位性と今後の展望
近年はリモートワークや多拠点業務の広がりにより、開発環境のモバイル化が求められている。その背景を踏まえると、時間や場所にとらわれない働き方を支援するCodexは、非常に革新的だ。
あらゆる開発プロセスのモバイル対応を可能にし、かつiOS環境の高い操作性で一貫したワークフローの提供を行うCodexは、GitHub CopilotやReplitといった既存のコード支援サービスと比較しても、明確に差別化できているといえる。
一方で、スマートフォンの物理的な画面サイズや入力手段の制約から、大規模プロジェクトの開発・レビューには不向きである可能性が高い。さらに、AIによるコード解釈や修正は高度な判断を伴うケースでは意図を外すリスクも残されており、全幅の信頼を置ける段階には至っていないと考えられる。
また、現在のところ有料ユーザーに限定された提供形態であり、利用の裾野を広げるには、さらなる価格戦略の見直しが求められる場面も出てくると予想される。
今後、OpenAIがCodexに対してどのようなアップデートを重ねていくかが、継続的な競争優位の鍵となるだろう。