バイナンス、新機能でCEXとDEXの垣根を突破 資産移動不要の直接トレードを実現

仮想通貨取引所バイナンスは2025年3月29日、中央集権型取引所(CEX)から分散型取引所(DEX)への直接トレード機能を導入した。この機能によりユーザーはCEX上の資産を移動させることなく、複数のDEXで直接取引が可能となる。資産のブリッジングや手動送金の必要がなくなることで取引の利便性とスピードが大幅に向上する見込みだ。
資産移動の手間を排除した新機能 複数ネットワーク対応で利便性を強化
今回発表された新機能では、バイナンスのCEXアカウントにある資産をそのまま使い、直接DEX上での取引が行える仕組みが採用されている。
これまで、ユーザーは取引を開始するまでに非保管型ウォレットへの資金移動やブリッジングといった複数の手順を踏む必要があったが、そうした手間はすべて不要となった。
このトレード機能は、イーサリアム、ソラナ、Base、BNBスマートチェーンといった主要な複数のネットワークに対応しており、CircleのUSDCなどのステーブルコインを通じて各種トークンを取得できる設計となっている。
これにより、ユーザーは自分のウォレットにおけるネットワークごとの資産管理や送金手続きの煩雑さから解放される。
バイナンスによると、この機能は同社の既存機能である「Binance Alpha」や「クイックバイツール」とも連携しており、新興トークンの発見から即時購入までの導線が短縮された。
特に、仮想通貨取引に不慣れな新規ユーザーにとっては、複雑なインターフェースや取引手順に悩まされることがなくなり、エコシステムへのスムーズな参加が可能となるだろう。
プロモーションで早期利用を促進 市場への影響と今後の展望にも注目
バイナンスはこの機能のリリースにあわせてユーザー向けのプロモーションも開始している。現在実施中の「Bedrockトークン配布キャンペーン」では、専用ページから参加登録を行い、スポットまたはファンディングアカウントを用いて50ドル相当以上のトークンを取引すると、100 BRトークン(約10ドル相当)が配布される。配布は先着順となっており、早期の利用を促す狙いがある。
今回の取り組みは、CEXとDEXの垣根を取り払い、両者の長所を組み合わせた新しい取引体験を提供するものと位置づけられる。これにより、従来のDEXの課題であったUIの難解さやガス代の高さといった障壁も、バイナンスのインフラを活用することで軽減されると期待されている。
業界内ではすでに他の大手取引所も同様の機能に関心を寄せている動きが見られ、今後の市場競争に火をつける可能性がある。
また、DEX市場そのものも年々成長しており、バイナンスとしてはこの成長領域においてもプレゼンスを維持・強化する意図があると見られる。
将来的には、さらなるネットワーク対応の拡張や、ガス代最適化といった機能面の強化も検討される可能性が高い。
CEXとDEXの融合による、ユーザー中心の取引体験がスタンダードとなる日も遠くないかもしれない。