バイビットが4つのWeb3サービス終了、NFTも対象

2025年4月16日、暗号資産取引所バイビットは、5月31日をもって4つのWeb3サービスを終了すると発表した。背景には、主力領域への集中とコスト構造の見直しがある。
NFT撤退からわずか数週間で追加の縮小判断、バイビットの事業再編が加速
バイビットは、4月上旬に発表したNFTマーケットプレイス終了に続き、同社のWeb3関連事業の大半を段階的に閉鎖すると明らかにした。
対象となるのは、クラウドウォレット、キーレスウォレット、DEXプロ、スワップ&ブリッジの4サービスで、いずれも5月31日をもって停止される。
さらに、オンチェーン活動に応じて特典に交換可能なポイントを付与するロイヤルティプログラム「Web3ポイント」も4月28日に終了予定である。
これらの動きは、バイビットが進める戦略的転換の一環と位置づけられている。
背景には、2月に発生した大規模ハッキング被害がある。
約14億ドルもの損失が報告されるなか、バイビットは運営リスクとコスト削減の両面からサービス構造の見直しを迫られた格好だ。
同社は今回の発表において「進化するオンチェーンエコシステムへの関与は維持しつつも、質の高いサービス提供に注力する」とし、Web3領域からの完全撤退ではない姿勢もにじませている。
今後の展望
バイビットが発表した一連のWeb3サービス終了は、同社にとって戦略的再構築の一環と位置づけられる。最大のメリットは、主力事業への集中とリソースの再配分が可能になる点だ。
これにより、取引所としての基盤強化や、ビットコインイールド商品のような高付加価値領域への注力が期待される。
また、Web3領域における乱立気味なプロダクトを整理することで、ブランドの明確化とユーザー体験の一貫性向上にもつながる可能性がある。
一方、クラウドウォレットやキーレスウォレットといった初心者向けの導線が断たれることで、新規ユーザーの参入ハードルが上昇しかねない。NFTマーケットプレイスやDEXの終了は、Web3エコシステム全体の広がりを支援してきた流れに逆行するものであり、バイビットが持っていた多機能性の魅力が薄れる恐れもある。
また、度重なるサービス終了は、長期的なロードマップの不透明さを投資家やユーザーに印象づけるリスクがある。
市場環境の変化や収益構造の見直しを背景にしたこの再編が、果たして中長期的な成長につながるのか、今後数四半期の動向が重要な判断材料になるはずだ。