Web3学習コラム:NFTの基礎編
2022年、様々な意味で注目されたNFTですが、結局のところ重要なポイントはどこなの?というのは、意外と明確になっていません。
この回では、NFTとは何なのか?という点から、具体的な未来像、そして活用法まで考えていきます。
Bootcampでは、従来のように知識を詰め込むのではなく、Web3でキャリアアップするために最適化された必要最低限の知見とスキルを最短で提供することを掲げています。
NFTとは
NFT、と検索すると、
非代替性トークン(ひだいたいせいトークン、英: non-fungible token、略称: NFT)とは、ブロックチェーン上に記録される一意で代替不可能なデータ単位である。
ウィキペディア引用
と表示されます。また別のコンテンツから引用すると、
「替えがきく」とは、区別不要で同じ価値を持つことを指す。たとえばもともと自分が持っていた1000円札と、先ほどコンビニでおつりとしてもらった1000円札はどちらも同じ1000円という価値を持つ。普段の生活の中で2つを区別し、どちらがおつりとしてもらった1000円札かを見分けるケースは稀である。
一方で、同じ1000円札でも「製造番号が連番になっている」「好きなアイドルから手渡された」のように、とある1枚の1000円札を特別なものとして大事にするようなこともあるだろう。この場合は、特別な1枚の1000円札は本人にとっては他の1000円札よりも高い価値を持ち、替えがきかない。このように同じ通貨であっても1つ1つが他とは異なる価値を持ち、区別して扱う必要があるといったユースケースのために作られたのがNFTだ。
Metaverse Styleより引用
この説明は聞き飽きた方は多いと思いますので、NFTを理解するのに必要な知識のみ、解説します。
NFTの仕組み
NFTの仕組みを理解していると、技術者と話す際に非常にスムーズに会話ができますし、エンジニア寄りでない人も活躍できる幅が広がります。
以下の図が非常に分かりやすいものかと思います。
意外と勘違いしている方が多いのが、「ブロックチェーン上に刻まれるのは、上記のインデックスデータのみ」です。
「画像をコピペして貼り付ければ、唯一無二なんかじゃないよ」という言説も頻繁に聞いた2022年でしたが、実際に皆さんがコピペしている画像というのは、上記の図で言うところのメタデータや対象データに含まれます。
CryptoPunksは非常に有名なフルオンチェーンNFTですが、これらがドット絵なのは、ブロックチェーン上の限界あるインデックスデータに解像度の低いドット絵であれば入れられる、ためです。
ガス代との兼ね合いももちろん関係してきます。2022年初期のころのガス代は非常に高価でした。
結局のところNFTは、「ほかのデジタルデータと区別するための識別子が付いているもの」と考えれば分かりやすいでしょう。
規格からNFTを考える
NFTは、2016年に本格始動したイーサリアムブロックチェーンで初めて登場しました。
OpenSeaを使用したことがあれば、ERC721といったものは見たことがあるでしょう。
これらは規格と呼ばれるもので、
イーサリアムではトークンがどのように動作するかを決めるスマートコントラクトの標準規格が定められています。標準規格に従うトークンであれば、取引所やウォレットが共通のインターフェースを利用して容易に扱うことができるため、このような規格は定められています。
ERC20
NFTではなく一般的な暗号資産を発行する場合に利用されるのは、「ERC20」という規格です。
代替可能であるため、Fungible tokenとして、FTとも呼ばれます。
ERC20は、たとえば「DOGE」や「USDC」「UNI」といった多くの暗号資産で利用されています。一般的に仮想通貨と呼ばれているものは、この規格で定められているケースが多いです。
ERC721
2018年に、1つ1つのトークンを区別し替えがきかないものとして発行し扱うための規格「ERC721」が採択されました。
この「ERC721」規格を利用して発行されたトークンが「NFT」と呼ばれるようになり、イーサリアムだけでなく他のブロックチェーンにも広がっていきました。
「CryptoPunks」や「Bored Ape Yacht Club」「CryptoKitties」など多くの著名なNFTが採用している規格になっています。
ERC721では、ひとつひとつのトークンに「トークンID」を割り振ることで、容易にトークン同士の区別が付けられるようになっています。
また、NFTのタイプ情報や名前、画像のURLなどのメタデータをNFTに付与することができ、メタデータは外部サーバーに保存されるケースが多く、保存先からデータを呼び出す方法などが定義されています。
ERC4907
ERC4907は2022年6月に、NFTレンタルサービスを展開するDoubleProtocol(ダブルプロトコル)の提案で、ERC721の拡張版として承認された規格です。
NFTをレンタルしやすいように、一定期間NFTを利用できる「user」とその期間の制限「expires」を設定することができ、設定した期間の制限が過ぎれば、自動でuserの権利は失効します。
またNFTを借りる側はNFTの転送やuser設定ができないため、レンタルに出しても勝手にNFTを売却されるなどの心配がありません。こうした特徴により、ゲームアイテムのNFTをレンタルして遊んだり、メタバースにおけるアバターを一定期間借りるといったことが安全にできるようになります。
ERC4907は現在メタバースプラットフォームの「Player One」などのサービスで採用されています。
2022年のNFTを振り返る
今後、NFTはどのように使われていくのでしょうか?
まだまだ不透明な時期ではありますが、2022年から振り返りながら考えていきましょう。
2022年のNFT
2022年はアートとして語られることの多かったNFTですが、代表的な例は以下でしょう。
BAYC(IPとしてのNFT)
NFTを代表して君臨する巨大IPの一つです。
NFTを用いてIPを創出する、という流れは世界規模で巻き起こっていましたが、BAYCはその中でも頭一つ抜けたといっても過言ではないでしょう。
ユーティリティといった概念やフリーミントなど、NFTの販売スキームを初期から構築してきたマーケティング集団としても、BAYCは高い評価を受けています。
ふるさと納税NFT
ふるさと納税の返礼品としてもNFTは使用されました。
地方創生、といった言葉も頻繁に耳にするNFT業界でした。
チケットNFT
チケットとしてNFTが使用されるのも、良く見かけました。
チケットNFTは、コンサートやスポーツ、演劇などのイベントに適用されており、例えば、ローソンチケットは2022年春から「LAWSON TICKET NFT」というサービスを開始しました。
このサービスでは、実際の会場の座席情報などが記録された記念チケットNFTを販売されています。
NFTを用いたサービス
さて、基本的なことを理解すれば、後は具体的な事例に落とし込むだけです。
NBA Top Shot
米プロ・バスケットボール選手のプレー動画をNFT化して販売するプラットフォームです。
NBA Top Shotは、NBA選手のトレーディングカードの販売や収集、展示を行うことができるアプリケーションであり、トレーディングカードは、動画が格納されたNFT(非代替可能トークン)として発行されています。ブロックチェーン上で取引されます。
NBA Top Shotは、Dapper LabsとNBAとNBAの選手労働組合の協力によって開発されました。
CryptoKitties
CryptoKittiesは、2017年11月28日にローンチされました。
イーサリアムのブロックチェーン技術を利用して作られているNFTゲームで、プレイヤーは、仔猫(キティ)を購入したり、交配して新しいキティを産んだりし、仮想通貨を使って売買することができます。キティの種類は数十億種類以上とも言われており、突然変異種が誕生することもあります。
NOT A HOTEL
ホテルの宿泊権利をNFT化した有名なNFT事例です。
この「NOT A HOTEL」ですが、そのホテル(物件)自体の販売方法も特徴的です。
- 一棟 or シェア買い(年間30日単位)の購入スタイルが選べる
- 自分で利用する or 誰かにギフトとしてプレゼントする or ホテルとして貸し出すが選択できる
- それら物件の購入から運用までが全てオンライン(アプリ)で完結する
国内在住で自分の別荘として活用する投資家はもちろん、オンラインで購入でき、その運用パフォーマンスもワンタップで確認できるため、海外在住で運用のために購入する投資家からの注目も集めました。
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