トランプ政権、最大で100万BTC(約800億ドル相当)のビットコイン取得を目指す方針との報道 Decryptより

米トランプ政権がビットコイン取得に向けた新たな方針を示した。
2025年3月14日、デジタル資産に関する大統領作業部会のエグゼクティブディレクターであるボー・ハインズ氏の、暗号業界のリーダーとの非公開ラウンドテーブルでの発言が、アメリカのWeb3メディアDecryptから報じられた。
同政権は「できる限り多くの」ビットコインを「予算中立的な方法」で取得する意向とのことだ。
米国政府、戦略的ビットコイン準備の確立へ
トランプ政権が検討しているビットコイン取得計画は、デジタル資産の戦略的準備を確立するという大きな目的を持つ。ハインズ氏は非公開会議の中で、ホワイトハウスがビットコイン法案を支持する計画であることを示唆したという。米国政府が最大100万BTC(約800億ドル相当)を購入し、国家としての暗号資産へのポジションをより強いものにすることを求めている。
ビットコインの取得は「予算中立的な方法」、つまり納税者に追加コストをかけることなく実施する方向性で行われる予定であるという。しかし、その実現可能性については疑問が残る。
法案は1971年以来更新されていない金証書の再評価から得られる収益をビットコイン購入の資金源として提案しているが、この手法が真に予算中立と言えるかどうかは専門家の間でも意見が分かれている。
このラウンドテーブルには、暗号業界の著名人物に加え、米国上院議員のシンシア・ルミス、ビル・ハガティ、バーニー・モレノらが参加した。
ビットコイン保有量拡大に向けた課題と展望
現在、米国政府は主に民事および刑事の押収を通じて取得した約20万BTCを保有していると推定されている。この数字は、法案の100万BTCという目標と比較すると、まだ大きな開きがある。この差を埋めるためには、新たな取得戦略が不可欠となる。
一方で、この計画には複数の課題が存在する。
まず、大量のビットコインを市場から取得することによる価格への影響は無視できない。急激な需要増加は価格の高騰を招き、結果として政府の取得コストが膨れ上がる可能性がある。また、法的および規制上の障壁も考慮する必要があるだろう。
さらに、ビットコイン法案の立法プロセスそのものも不確実性を抱えている。政治的合意の形成や、具体的な実施メカニズムの確立には時間がかかることが予想される。特に予算中立性という要件は、実際の運用においてハードルとなり得る。
トランプ政権は、暗号資産フレンドリーな政権をアピールしており、国家レベルで暗号資産への姿勢を大きく転換しようとしている。
実現可能性やリスクなど課題は残っているものの、これまで規制強化の方向性が目立っていた米国政府が、積極的にビットコインを取得する方針へと転換したことは、暗号資産の将来における位置づけを根本から変える可能性を秘めていると言える。