アーサー・ヘイズ氏、ビットコインは3年後に100万ドル到達と予想 今年の25万ドル予想から4倍増

2025年4月30日にシンガポールで開催された「TOKEN2049」において、暗号資産取引所BitMEXの元CEOであるアーサー・ヘイズ氏が、ビットコイン(BTC)の価格が2028年までに100万ドルへ到達するとの強気な予想を公表した。米国の金融政策や市場の流動性を根拠にした発言であり、世界の暗号資産市場関係者に大きなインパクトを与えている。
法定通貨の緩和が仮想通貨の高騰を呼ぶという構図
今回の発言で注目すべきは、ヘイズ氏がビットコインの将来的な成長を、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策と強く結びつけている点にある。
彼は2022年から2025年までの3年間における価格の推移を踏まえ、すでに「6倍の成長」が起きているとの見解を示した。現在のビットコイン価格は約25,000ドルとされているが、彼の予測通りに進めば、2025年末には25万ドル、2028年には100万ドルへの到達も射程圏内となる。
この背景には、FRBが量的引き締め(QT)から量的緩和(QE)(※1)へと再び転じる可能性があるという見立てがある。
ヘイズ氏は、ドルの供給量が増加することにより、法定通貨の信頼性が低下し、代替資産としてのビットコインに資金が流入すると分析する。
米国の景気後退懸念やトランプ関税の再来といったマクロ経済リスクが重なれば、市場のリスク回避姿勢は一段と強まり、その反動として仮想通貨への注目が高まる可能性がある。
一方で、こうした予測には懐疑的な声も根強い。過去にもビットコインに対して強気の予測は数多く存在してきたが、すべてが現実の価格に結びついたわけではない。
とはいえ、金融市場において「流動性=価格上昇の起点」という考え方は依然として強く、政策転換を見越した動きがビットコイン市場に波及する構図は無視できない。
※1 量的緩和(QE):中央銀行が市場に資金を供給するために国債などを買い入れる政策。これにより市場の金利が下がり、投資や消費が刺激される仕組み。
市場が動くタイミングは「金融政策の転換点」にあり
現時点では、FRBが具体的に量的緩和に戻るという公式発表はない。しかし、インフレ圧力の後退や雇用指標の軟化などが進行すれば、政策変更の可能性は高まる。
もし2025年中にFRBが利下げやバランスシート拡大に動けば、ヘイズ氏の予想に市場が反応するシナリオは現実味を帯びるだろう。
ビジネスサイドにおいては、このような相場観を踏まえて資産配分やリスクヘッジを再考する動きが出てくる可能性がある。特にWeb3領域やDeFi(※2)関連企業にとって、ビットコイン価格の高騰は資金調達やプロジェクト運営の追い風となる。
一方で、極端な価格上昇は規制当局の介入リスクも高めるため、安易な楽観は禁物である。
過去にも2017年や2021年のように、投機熱が価格を急騰させた局面では、その後に急落が続いた。
つまり、価格上昇の「中身」を見極めることが重要であり、単なる資金流入だけでなく、実需の拡大や制度面の整備が伴わなければ、持続的な成長とはなり得ない。
市場は今後、政策動向と機関投資家の動きを注視する展開が続くと見られる。
※2 DeFi(分散型金融):中央管理者を介さずに金融取引を実行する仕組み。スマートコントラクトとブロックチェーンを基盤とし、透明性と自動化を特徴とする。
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