米政府、ビットコインの「予算中立的」取得計画を検討 ボー・ハインズ氏が発言

2025年3月19日、米国政府が「納税者に影響を与えない予算中立的な方法」でビットコインを取得する計画を進めていることが明らかになった。デジタル資産大統領顧問会議のエグゼクティブディレクターを務めるボー・ハインズ氏が公表し、政府が押収したビットコインを活用するなどの具体策が議論されている。
トランプ政権のビットコイン戦略とハインズ氏の発言
トランプ政権は、ビットコインを「デジタルゴールド(※)」として位置づけ、その価値保存機能に着目している。過去の政策においても、暗号資産の規制緩和や業界との協力体制を強化する動きが見られたが、今回の発表はその延長線上にあるものと言える。
ボー・ハインズ氏は、トランプ政権のデジタル資産政策を推進する中心人物の一人であり、政府の暗号資産戦略において重要な役割を担っている。同氏の発言によれば、米政府は税金の投入や国債の発行をせず、既存の資産を活用してビットコインを取得する計画を進めているという。
現在、米国政府は約20万BTCを保有しており、これらは主に犯罪捜査や資産没収を通じて取得されたものだ。ハインズ氏は、こうした資産の管理強化とともに、予算中立的な方法での追加取得を進めることが重要だと強調した。
この計画が実現すれば、政府のビットコイン備蓄がさらに拡大する可能性があり、財政に影響を与えずにデジタル資産を戦略的に活用できると期待されている。
今後の予測と政治的反応
トランプ政権は今後、具体的な運用方法を策定し、その実現可能性を検討することになると予想される。特に、司法当局による押収資産の管理方法をどう改善するかが重要な課題だ。これまで米政府が押収したビットコインは競売などで売却されるケースが多かったが、今後は政府資産として保持する方針が強まる可能性がある。
さらに、今回の取り組みは他国のデジタル資産保有戦略にも影響を与える可能性がある。
特に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を推進する国々が、ビットコインの保有にどのような立場を取るかが注目される。
一方で、この計画に対する米国議会の反応は分かれている。
共和党内ではデジタル資産に対する前向きな姿勢が目立つが、民主党はこの計画に対して懐疑的だ。特に、下院監視委員会の一部議員は「政府がビットコインを積極的に取得することは、市場に過度な影響を与えかねない」と懸念を表明している。
また、政権交代や政策変更の影響を受ける可能性があるため、この戦略が長期的に実行されるかどうかは現時点では不透明だ。最終的には、価格変動リスクと国家戦略のバランスをどう取るかが、今後の成否を分ける鍵となるだろう。
※デジタルゴールド:ビットコインが金と同様に価値を保存する手段として機能するという考え方。価格変動はあるものの、希少性と分散性が評価されている。