米下院、ステーブルコイン規制法案「STABLE」を改訂し提出

2025年3月26日、米国下院は決済用ステーブルコインに関する法案「ステーブルコイン透明性および説明責任法（STABLE法案）」の改訂版を提出した。

この法案は、ステーブルコインの規制を強化し、ドルに裏付けられたデジタル資産の発行と使用に関するルールを明確にすることを目的としている。

法案改訂の背景と主要な変更点

ステーブルコインは、法定通貨や資産に価値を連動させたデジタル通貨であり、価格の安定性を提供することを目的にした暗号資産の一種である。
近年、暗号資産市場の拡大とともに、ステーブルコインの利用も急増している。
このような状況を受け、米国下院はステーブルコインの規制強化を目的として、STABLE法案の改訂版を提出した。

改訂版の主な変更点は以下のとおりである。

まず、証券、預金、信用組合口座などの金融商品が「決済用ステーブルコイン」の定義から除外された。これにより、ステーブルコインの範囲が明確化され、規制の適用対象が特定された。

次に、準備金証明の義務化があげられる。
公認会計士事務所が毎月のステーブルコイン準備金証明を検証することが求められ、虚偽の証明書を提出した場合、最高100万ドルの罰金または10年の懲役が科される可能性がある。

さらに、ステーブルコイン発行者には、米財務省証券や当座預金などの現金相当資産による完全な裏付けが義務付けられた。
これにより、発行されたステーブルコインの信頼性と安定性が向上すると期待される。

また、発行者がトークン保有者に利回りを支払うことが禁止され、発行者の活動は発行、償還、保管サービスに制限された。この措置は、ステーブルコインが投資商品として誤解されることを防ぐためのものである。

最後に、消費者保護の強化として、米国政府がステーブルコインを保証していないことを明確にし、虚偽の表明を禁止する条項が追加された。これにより、利用者がステーブルコインのリスクを正確に理解し、適切な判断を下すことが可能となる。

法案の進捗状況と今後の展望

STABLE法案は現在、上院でも審議が進められている。
上院の「GENIUS法案」は銀行委員会で賛成18、反対6の投票で可決されており、次のステップは上院本会議での審議となる。
その後、下院のSTABLE法案との統合が目指されており、法案成立の目標は2025年4月末とされている。

ステーブルコイン市場は急速に成長しているため、法案が成立すれば、さらなる規制が市場に影響を与える可能性がある。
特に、消費者保護の強化や発行者の信頼性向上が期待される一方で、規制強化に伴う発行者の負担増加や市場の流動性への影響が懸念されている。

法案が成立すれば、ステーブルコインの発行者は新たな規制の下で運営されることになり、業界全体の信頼性が向上すると期待される。

しかし、規制の詳細や適用方法によっては、ステーブルコインの未来や市場の動向に大きな影響を与える可能性があるため、引き続き注視が必要だ。