米エネルギー省、韓国を「敏感国家」に指定 AI研究に新たな障壁か

2025年4月15日、米エネルギー省(DOE)が韓国を「敏感国家」に指定し、同日から発効する見通しとなった。韓国の研究者が米国の研究施設を訪問する際、45日前の申請と承認が必要となる。
AIを含む先端技術分野での国際共同研究や人材交流に影響が及ぶ可能性があり、韓国政府は迅速な対応を求められている。
AI分野への影響と米韓協力の行方
今回の「敏感国家(※)」指定により、韓国の研究者が米国の研究施設を訪問する際には、45日前に関連書類を提出し、別途の承認を得る必要が生じた。
また、米エネルギー省の職員や関連研究者が韓国を訪問する場合にも、追加の安全手続きが求められる。
これらの新たな手続きは、AIや量子コンピューティングなどの先端技術分野での国際共同研究や人材交流に対する障壁となり得る。
米国側は、今回の指定が韓国との科学技術協力に新たな制限を課すものではないと説明しているが、手続きの複雑化が研究活動に影響を及ぼす可能性がある。
韓国政府は、DOEとの協議を通じて、指定の解除に向けた努力を続けているが、具体的な解除時期は明らかになっていない。
韓国政府は、AI分野での競争力を維持・強化するため、2027年までに約7兆ウォン(約69億ドル)を投資する計画を発表している。この投資には、AI半導体企業への支援や、次世代AI技術の研究開発が含まれている。
また、2024年5月に開催されたAIソウルサミットでは、国際的なAI安全性評価機関の設立に合意し、韓国もその一員として参画している。
※「敏感国家」
米エネルギー省が、安全保障や核不拡散などの観点から、特定の国を指定するリスト。指定国の研究者や機関は、DOE関連の研究施設や情報へのアクセスに制限が課される。
韓国のAI戦略と今後の展望
今回の「敏感国家」指定により、米国との技術協力や人材交流に支障が生じる可能性がある。
韓国政府は、国内の研究機関や企業への投資を強化し、外部依存を減らすことで、AI分野での自立性を高める必要があるだろう。
特に、AIの安全性や倫理性に関する国際的な議論に積極的に参加し、信頼性の高いパートナーとしての地位を確立することが重要になると思われる。
総じて、今回の「敏感国家」指定は韓国にとって試練であるが、同時にAI研究開発分野での自立性と国際的な信頼性を高める契機にもなり得る。
戦略的な対応と積極的な外交努力を通じて、韓国はこの課題を乗り越え、AI分野での持続的な成長を実現することが求められるだろう。