米CMEグループ、トークン化市場へ参入 Google Cloudのブロックチェーン利用

2025年3月25日、米国の金融大手CMEグループとGoogle Cloudは、資産のトークン化とホールセール決済を目的とした新たなブロックチェーン技術「Google Cloud Universal Ledger」の実証実験を開始すると発表した。本プロジェクトは、金融市場の効率化を目指すものであり、2025年後半には市場参加者とのテストを行い、2026年には本格的なサービス提供が予定されている。
CMEグループとGoogle Cloudの提携がもたらす影響
CMEグループはデリバティブ取引の世界最大手として知られ、近年はデジタル資産市場への進出を加速させている。
その一環として、Google Cloudと提携し、プライベート型ブロックチェーン「Universal Ledger」を活用することで、資産のトークン化を推進する。
この技術は、従来の金融資産をデジタル資産へと変換し、流動性を高めることを目的としている。特に、長期的にロックされている資産をより柔軟に取引できる環境を整備することで、金融市場全体の活性化が期待される。
また、トークン化された資産を活用することで、ホールセール決済(※1)のスピードを向上させ、取引コストを削減することが可能になる。
CMEグループとGoogle Cloudの提携による本プロジェクトは、すでに初期テストを終え、今後2025年後半には市場参加者との直接テストが開始される予定だ。この段階では、金融機関と協力し、Universal Ledgerの実用性や適用範囲を検証する。
さらに、2026年には新たなサービスが正式に提供される見通しであり、金融市場のデジタル化を一層加速させると考えられる。
※1 ホールセール決済:金融機関や機関投資家間で行われる大口決済のこと。通常の小口決済と異なり、即時性やコスト削減が求められる。
トークン化がもたらす金融市場の変革
資産のトークン化(※2)は、金融市場の構造を大きく変える可能性を秘めている。
従来、流動性が低く取引が困難だった資産も、デジタル資産化することで即時に売買できるようになり、市場の効率性が向上する。
さらに、ブロックチェーン技術を活用することで、取引の透明性が高まり、信頼性のある金融取引が実現する。
特に、24時間365日取引可能な環境の実現が期待される。従来の金融システムでは、取引時間が制限され、決済プロセスにも時間を要していたが、トークン化された資産を用いることで、リアルタイムの決済・清算が可能となる。
また、仲介業者を介さずに取引できるため、手数料の削減にもつながる。
金融市場におけるトークン化の重要性は年々高まっており、競合他社も同様の技術開発を進めている状況だ。JPモルガンやゴールドマン・サックスなどの大手金融機関も、ブロックチェーン技術を活用したデジタル資産の取引基盤を構築しており、今後の市場競争が激化することが予想される。
CMEグループとGoogle Cloudの取り組みは、金融市場の新たなスタンダードを確立する可能性がある。2026年の正式サービス開始に向け、今後の進展が注視される。
※2 トークン化:物理的・デジタル資産をブロックチェーン上でデジタル証券として発行する技術。これにより、資産の分割所有や即時取引が可能となる。