バンコク首都庁がグーグルと交通効率化 AIで信号制御、排出削減も

2025年5月26日、タイ・バンコクの首都庁(BMA)は、米グーグルと連携し、AIとビッグデータ(※)を活用した交通効率化プロジェクトを開始したと発表した。
信号制御の最適化により、交通停滞と温室効果ガスの削減を目指す。
AIが交差点の信号を最適制御、30%の停車削減へ
今回の取り組みでは、グーグルのビッグデータ解析技術とAIを用いて、運転行動をリアルタイムで把握し、交差点の信号切り替えを最適化する。
すでにバンコク市内50以上の交差点で実施中であり、開始前と比較して信号待ちなどによる車両の路上停車を約30%削減できたという。
さらに、走行データの分析を通じて、温室効果ガスの排出量を10%削減する効果も期待されている。
交通流を妨げる要因を事前に予測・緩和することが可能となり、環境負荷の軽減と都市の持続可能性に貢献するプロジェクトといえる。
排出削減と都市の機能性向上に寄与も、課題はインフラの一貫性か
バンコク市内の渋滞問題は長年の社会課題であり、これまでの手法では抜本的な解決に至らなかった。
今回導入されたAI制御は、モバイルGPSデータを活用して車両の起点と終点を分析し、信号システムの運用にリアルタイムで反映する点が革新的だ。
実験はすでにラチャテウィー橋やラマ9世橋、タクシン橋など主要幹線で始まっており、交通流の平準化や移動時間の短縮といった効果も報告されている。
今後は、都市全体への展開も期待できるだろう。
ただし、各交差点ごとに設置された既存インフラの仕様が異なるため、統一的な最適化アルゴリズムの設計や導入コストが課題となる可能性もある。
また、AIが処理する情報の正確性や偏りに対しても、一定の監視が必要だろう。
とはいえ、交通への本格的なAIの導入は、先進的な例として国際的な注目を集めることになりそうだ。
成否によっては、他国でも同じムーブメントが続く可能性もあるため、その結果に今後も注視したい。
※ビッグデータ:大量かつ多様な形式のデジタルデータ群。リアルタイム処理や分析により、意思決定や予測に活用される。