au PAY、給与デジタル払いサービス「au PAY 給与受取」を開始

2025年4月4日、auペイメントは厚生労働省から資金移動業者としての指定を受け、給与デジタル払いサービス「au PAY 給与受取」を開始した。従業員は給与をau PAYで直接受け取ることが可能となる。
「au PAY 給与受取」の概要と導入の背景
「au PAY 給与受取」は、従業員が給与をau PAYのデジタル残高で受け取ることを可能にするサービスである。
従来の現金や銀行口座への振り込みに加え、新たな選択肢として提供される。
サービスの開始は2025年5月の給与支払いから順次行われ、対象はau PAYを利用する従業員となっている。
受け取り方法として、従業員は「au PAY 給与残高」を開設し、給与を受け取る。
ただし、受け取りの上限額は10万円で、これを超える部分は指定の銀行口座に自動的に送金される仕組みだ。
給与の振り込み方式には、「仮想口座方式」と「Bチャージ方式」の2種類がある。
仮想口座方式では、従業員がau PAYアプリで「au PAY 給与受取口座」を取得し、雇用主に届け出る。雇用主はこの口座を給与システムに登録し、通常の金融機関口座と同様に振り込みを行う。
一方、Bチャージ方式では、従業員がau PAY会員ナンバーなどの情報を提供し、雇用主が従業員のau PAY 給与残高に直接チャージを行う。
出金方法として、給与としてチャージされたau PAY給与残高は、銀行口座への出金や対象ATMからの出金が可能だ。銀行への出金手数料は、月1回まで無料となっている。
このサービス開始の背景には、厚生労働省が2023年4月に給与のデジタル払いを解禁したことがある。
PayPay、リクルートMUFGビジネス、楽天Edyが資金移動業者としての指定を受けており、auペイメントはこれに続く4件目の指定となる。
給与デジタル払いのメリットと今後の展望
給与デジタル払いの導入により、従業員は給与を直接デジタルマネーで受け取ることができ、日常のキャッシュレス決済がよりスムーズになる。
また、給与の一部をデジタルマネーで受け取り、残りを銀行口座に振り込むといった柔軟な設定も可能だ。
一方で、デジタル給与の普及には、利用に不慣れな層への対応やセキュリティ面での懸念があり、企業は従業員への適切な説明とサポートを通じて安心して利用できる環境を整える必要があるだろう。
さらに、デジタル給与の普及は、銀行などの既存金融機関のビジネスモデルにも影響を与える可能性がある。
給与の受け取りがデジタルマネーにシフトすることで、銀行口座の利用頻度が減少する可能性があり、金融機関は新たなサービスの提供やビジネスモデルの転換を迫られるかもしれない。
総じて、給与のデジタル払いは、キャッシュレス社会の実現に向けた重要な一歩であり、今後の普及とともに新たなビジネスチャンスや課題が生まれることが予想される。
企業や金融機関はこれらの動向を注視し、適切な対応を行うことが求められるだろう。