Aptosが「Global Trading Engine」構想を発表、国境なき資本市場へ、日本市場と万博が推進力に

2025年4月4日、米国のAptos Labsが発表した「Global Trading Engine」構想が、ブロックチェーンを活用した国際資本市場の新基盤として注目を集めている。
日本市場と2025年の大阪・関西万博との連携が、同構想の普及を加速させる見通しだ。
Aptosが目指す資本市場の概要
Aptos Labsは、次世代ブロックチェーン基盤「Aptos」上で、24時間・国境を越えた資本取引を可能にする「Global Trading Engine(グローバル取引エンジン)」構想を打ち出した。
この構想は複数の要素から成っている。
まず、USDT・USDC・USDeなど複数のステーブルコイン(※1)に対応し、時価総額10億ドル以上の流動性の実現を目指している。
加えて、株式や不動産、国債といった現実資産(RWA ※2)をオンチェーンで安全かつ迅速に取引可能にする設計も含まれる。
さらに、分散型注文板(CLOB)により公平な取引環境を整備し、他チェーンからの即時アクセスが可能なクロスチェーンアカウント機能も備える予定だ。
性能強化も注目点だ。ブロックタイム150ms、処理速度11,000TPS以上という数値は、従来のブロックチェーンの常識を大きく塗り替える。
また、AIウォレットや自動取引スケジューラーなどのユーザー補助機能を加えることで、金融の専門家から初心者まで幅広い層がシームレスに利用できる環境を整える計画だ。
※1 ステーブルコイン:法定通貨に価値が連動している暗号資産で、価格変動が少なく、送金や決済などで安定して利用できる特徴がある。
※2 現実資産(RWA):ブロックチェーン上でトークン化される現実世界の資産のこと。
Aptos構想の普及に向けた布石と課題、日本市場と万博がカギか
「Global Trading Engine」の構想は、スピード・透明性・公平性を備えた新しい資本市場のモデルケースとなる可能性が高い。
Aptosの共同創業者であるエブリー・チン氏も「真の意味でオープンでアクセス可能な資本市場への第一歩です」と語っており、今後の展開に期待が集まる。
Aptos Labsは、2024年に日本のブロックチェーン企業HashPaletteを買収し、日本市場への進出を本格化させている。
この動きは、ローカルニーズに対応したサービス展開と、ブロックチェーン技術の社会実装に向けた戦略の一環とみられる。その象徴的な取り組みが、2025年に開催される大阪・関西万博における「EXPO2025デジタルウォレット」へのAptos技術の採用だ。
このウォレットは、万博会場内外での支払いやサービス連携を担うもので、AptosのネイティブトークンAPTの利用も予定されている。技術的信頼性だけでなく、実用性を示す場として、万博は格好の機会となるだろう。
一方で、規制や法制度の整備が追いついていない現状では、Global Trading Engineの機能が活用されるまでには時間がかかると見られる。特に現実資産のトークン化には、証券法などとの整合性が求められるため、グローバルな法規制調整は必要不可欠だろう。