米司法省のビットコイン「秘密売却」説が浮上し不安定化 業界誌CEOが推測

米司法省がシルクロードから押収した69,370BTCを秘密裏に売却しているという推測が業界内で話題となっている。この憶測に火をつけたのは、ビットコイン・マガジンのCEO、デイビット・ベイリー氏だ。ベイリー氏は、3月10にXにポストした見解で、司法省が秘密売却を行ったとの見方に同意した。
一方、この疑惑はあくまで噂であり、確定情報ではないことに注意が必要だ。
ビットコイン・マガジンCEO、司法省の売却活動について憶測を提示
ビットコイン・マガジンのCEO、デイビッド・ベイリー氏は、米司法省(DOJ)が3ヶ月前に裁判所から得た承認を基に、違法サイトから押収したビットコインを急ピッチで清算しているのではないかという憶測を述べた。
これはあくまでベイリー氏の個人的見解であり、実際に売却が行われているという確証は現時点では示されていない。
2024年12月、DOJは裁判所の判決により、シルクロードから押収した69,370BTCの売却許可を獲得したことは事実だが、その後の実施状況や方法については明確な情報が公開されていない。
この情報の不足が市場参加者の間で様々な推測を生み出し、価格変動の一因となっている可能性がある。
ただ、約70,000BTCというビットコインが仮に売却されたとしても、その量は市場全体に重大な影響を及ぼすには不十分だとの見解もある。また、マクロ経済要因の方がビットコイン価格への影響は大きく、売却の有無にかかわらず市場は動いているとの冷静な分析もなされている。
一方でトランプ政権とバイデン政権のスタンスの違いや、現在のビットコイン相場の不安定さから、この疑惑は一部で疑心暗鬼を生んでいる。
トランプ政権とバイデン政権の政策相違が市場に波紋
政治的側面からみると、現トランプ政権の方針では、連邦政府が保有するデジタル資産の完全な会計報告を求め、ビットコインは売却せずに保管する方針が示されている。これに対し、バイデン前政権下でDOJが得た売却許可は、現政権の指針と相反するものだ。DOJがトランプ政権に秘密で売買を行ったとすれば、混乱は免れない。
今後の市場展望としては、3月12日に発表予定のインフレ報告(CPIデータ)と国債市場の動向が注目される。これらの経済指標がビットコインの価格形成に重要な影響を与えると専門家は予測している。
加えて、DOJによる保有資産の管理状況について、透明性のある情報開示を求める声も高まりつつある。ビットコイン売却の有無にかかわらず、市場関係者は政府の動向を注視している状況だ。
透明性の欠如は市場の健全な発展を阻害する要因となり得るため、政府機関による大量保有資産の管理・処分方法については、より明確な情報開示が望まれる。
仮想通貨市場の成熟とともに、このような制度的課題への対応が今後ますます重要になるだろう。