AMD、台湾・高雄市にAI研究開発拠点を開設

2025年3月25日、米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ（AMD）は、台湾・高雄市に新たな人工知能（AI）研究開発拠点を開設した。

この拠点は、AI技術の研究開発と集積回路（IC）設計の強化を目的としている。

AMDが注目する高雄市の地政学的価値と産業ポテンシャル

高雄市は、台湾南部に位置する主要な港湾都市であり、戦略的な地理的位置と堅固な産業基盤を有している。
これまで重化学工業を主体として発展してきたが、近年ではサービス業やハイテク産業への転換を図っている。

特に、半導体産業の発展において重要なハブとしての役割を担っており、AMDの新拠点開設はその象徴的な動きと言える。
高雄市長の陳其邁氏も、IC設計の発展に注力しており、シリコンフォトニクス技術（※）が今後のハイパフォーマンスコンピューティング（HPC）とデータ伝送の鍵となる技術であると述べている。

AMDは、高雄市の新拠点において、元澄半導体科技や光電子技術開発の先発電光、さらには清華大学、陽明交通大学、中山大学などの教育機関と連携し、AI人材の育成を進める計画である。
これらの協力により、地域の技術力向上とともに、AI技術の進展がもたらす産業全体の効率化や新たなビジネスモデルの創出が期待される。

この投資は、高雄のIC設計分野の成長を加速し、技術イノベーションを促進する重要な役割を果たすと考えられる。

今後の展望

AMDが台湾・高雄市にAI研究開発拠点を開設したことは、地域の技術革新と経済成長に大きく寄与すると期待できる。
この拠点を通じて、AMDは台湾の大学や企業と連携し、AI技術の研究開発を進める計画である。
これにより、台湾はAI分野での競争力を一層高め、国際的なハイテク産業の中心地としての地位を強化する可能性がある。

さらに、高雄市の戦略的な地理的位置と堅固な産業基盤は、今後の半導体産業の発展において重要な役割を果たすと考えられる。AMDの投資は、地域のIC設計分野の成長を加速し、技術イノベーションを促進するだろう。

また、協力機関との連携を通じて、AI人材の育成が進められ、地域全体の技術力向上にも寄与すると見られる。

このような動きは、台湾が目指す「AIアイランド」構想の実現に向けた重要な一歩となるだろう。

産官学の連携により、AI産業のエコシステムが形成され、さらなる投資や技術革新が促進されると予測される。

※シリコンフォトニクス技術：光とシリコンを組み合わせた技術で、光通信やデータ処理の高速化・省電力化を実現する。