政府、AI自動運転車の実証実験を国会で開始　デジタル戦略改訂でAI活用を加速

2025年5月29日、日本政府は自動運転技術の実用化を後押しするため、自動車分野のデジタル戦略の改訂案を公表した。
AIを活用した公用車の実証実験を今秋から経産省と国会間で実施し、民間導入の加速を図る方針だ。

政府、国会と経産省間で自動運転実験へ

政府は2030年代を見据えた新たな自動車戦略として、AIによる自動運転の推進を中核に据えたデジタル戦略の改訂案を示した。目玉施策として、今秋から経済産業省と国会を自動運転車で結ぶ実証実験を開始する。

対象となるのは公用車であり、官公庁が率先して実用モデルを導入することで、民間への波及と市場需要の喚起を目指す。
また、大手自動車メーカーや部品サプライヤーとの連携強化も促す内容となっており、技術開発と社会実装の一体化を狙う。

一方、米国の関税政策など外部リスクの高まりもあり、政府は国内でのサプライチェーン強化を重視する。
戦略全体では、先端技術の内製化と基盤整備の両立が不可欠だと強調された。

SDV開発を加速　2030年に世界シェア3割目指す

政府が今回の改訂案で掲げたもう一つの重点領域は「SDV（ソフトウエア・デファインド・ビークル）」の開発である。SDVとは、ソフトウェアによって機能が定義・更新される次世代型の自動車で、各社が開発を進めている。

改訂案では、SDVの世界販売における日本企業のシェアを2030年に30％へ引き上げる目標を再確認した。個別企業の開発努力では限界があるとして、業界全体での供給網構築とオープンな技術連携が不可欠とされる。

一方で、AI・自動運転技術の国際標準化に出遅れれば、グローバル市場における競争力を失うリスクも現実的だ。米中の先行動向を注視しつつ、日本独自の強みをどこまで押し出せるかが鍵を握ると考えられる。

政府の戦略が単なる政策誘導にとどまらず、民間の投資意欲と技術革新を実質的に後押しできるかどうか。その成否が、日本のモビリティ産業の未来を大きく左右することになるだろう。