宇宙天気予報AIでデブリ衝突回避を目指す　Space Weather Companyが最優秀賞を受賞

2025年1月16日、内閣府主催の宇宙分野ビジネスアイデアコンテスト「S-Booster 2024」の最終選抜会が開催され、Space Weather Companyが「宇宙天気予報AIによるデブリ衝突回避の実現」をテーマに最優秀賞を受賞した。この成果は、宇宙デブリ（※）問題の解決に向けた新たな一歩となる。

宇宙デブリ問題とSpace Weather Companyの取り組み

地球低軌道（LEO）における衛星運用の増加に伴い、宇宙デブリの数も急増している。これにより、衛星運用者は毎日数百件の衝突警報を受信し、その対応に追われている。Space Weather Companyは、京都大学の研究室で太陽物理学の学位を取得した3名で構成され、太陽物理学の知識を活用したAI技術を開発している。彼らの提案は、AIを用いてデブリや衛星の軌道、大気密度を高精度に予測し、衝突警報の発生を減少させることを目指している。 

技術的アプローチと市場の可能性

Space Weather Companyは、太陽活動の影響を考慮した宇宙天気予報とAIを融合させた予測モデルを構築中だ。また、京都大学の「MUレーダー」を使用することで、LEOを周回するデブリの観測を行い、データを収集している。
この技術により、AIによる軌道分析市場は約700億円、データ販売市場は2200億円になると見込まれている。事業化を進めることで、宇宙分野でのユニコーン企業となる可能性もあるだろう。 

Space Weather Companyの取り組みは、宇宙デブリ問題に対する革新的な解決策として注目されており、今後の展開が期待されている。

※宇宙デブリ：地球の周回軌道に存在する使用されていない人工物のことで、使用済みの人工衛星、役目を終えたロケットの部品、衝突や爆発によって生じた破片などが含まれる。