AIの回答精度を向上させる国産のオープンソースソフト登場 キオクシア、「KIOXIA AiSAQ™」を公開

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生成AIの普及が進む中、その精度向上と運用コストの削減が大きな課題となっている。2025年1月28日、キオクシア株式会社はこの課題に対する革新的な解決策として、SSDを活用した新しいソフトウェア技術「KIOXIA AiSAQ」をオープンソースとして公開した。生成AIの回答精度を向上させる技術はRAGシステム(Retrieval Augmented Generation)と呼ばれるが、「KIOXIA AiSAQ」は低コストかつ誰にでもRAGを実現させるという強みを持つ。

目次

SSDベースのアプローチ

通常、生成AIシステムの処理速度と精度を支えているのは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)という半導体メモリだ。DRAMは、コンピュータのメインメモリとして使用される高速な記憶装置で、データへのアクセス速度が非常に速い(数十ナノ秒単位)という特徴を持つ。
しかし、1ギガバイトあたりの単価が高額(SSDの約10倍)で、搭載できる容量に制限があるという課題がある。さらに、電源を切るとデータが消えてしまう「揮発性」という性質を持つため、AIシステムを再起動するたびにデータを再読み込みする必要があった。

KIOXIA AiSAQは、この課題を解決するために、SSD(Solid State Drive)を効率的に活用する新しいアプローチを提案している。SSDは、DRAMと比べてアクセス速度は若干遅いものの(数百マイクロ秒単位)、大容量のデータを低コストで保存でき、電源を切ってもデータが保持される「不揮発性」という利点がある。この技術では、RAGシステムにおいて重要な役割を果たすベクトル探索処理を、直接SSD上で実行できるように最適化している。

SSDでRAGシステムを実現するために、キオクシアはANNS(Approximate Nearest Neighbor Search:近似最近傍探索)と呼ばれる検索アルゴリズムを最適化した。生成AIが回答を返すためには、膨大なデータから目的のデータを検索する必要がある。
従来は、高速な検索を行うために、その膨大なデータを全てDRAM上に配置する必要があった。

これに対してKIOXIA AiSAQは、独自の最適化技術により、大規模なデータをSSD上に直接配置したままでも高速な検索を可能にした。一定規模以上のデータベースの場合、従来はDRAMの容量制限により実現が難しかったが、SSDを利用することで大規模な検索が可能になる。
実際、AiSAQは最大1000億のベクターを扱う際でも、パフォーマンスと精度を維持しつつ、DRAMを使用する場合と同等の性能を提供する。これにより、より豊富な参照データを活用でき、AIの回答精度を大幅に向上させることができるのだ。
ただ、SSDは一般に書き込み頻度が高いほど劣化が早まるため、耐久性には注意が必要だ。

誰でも導入可能な新技術

キオクシアが本技術をオープンソースとして公開した意義は極めて大きい。GitHubで公開された完全無償のコードhttps://github.com/kioxiaamerica/aisaq-diskann)を活用することで、企業規模に関係なく、独自のRAGシステムを構築できる。
特に注目すべき点は、導入に特別な専門知識や高額な設備投資を必要としないことだ。既存のSSDを活用できるため、中小企業や個人でも、比較的容易に導入が可能である。

KIOXIA AiSAQを導入することで、サーバーのDRAM容量に依存せずに、SSDを使って大規模なデータベースを検索できるようになる。
既存の社内文書やナレッジベースを全て活用できるようになるため、RAGシステムの回答精度を大幅に向上させる。また、SSDベースであるため、同一サーバーで複数のユーザーや用途別の複数データベースを効率的に切り替えることが可能になる。
たとえば、営業部門用、技術部門用、顧客サポート用など、部門ごとに異なるデータベースを使い分けることができる。さらに、クラウドシステムにおいて、複数のサーバーでデータを共有する構成を実現できることも強みだろう。これにより、地理的に分散した拠点間でも、同じAIシステムを共有して利用することが可能となる。

KIOXIA AiSAQは、以下のようなステップで導入できる。

  • KIOXIA AiSAQのオープンソースソフトウェアを入手する
  • SSDを搭載したシステムを準備する
  • RAGワークフロー用のベクターデータベースを構築する
  • AiSAQ技術を使用してインデックスデータをSSDに直接保存する

まとめ

KIOXIA AiSAQは、生成AIの実用化において、コスト面でも利便性の面でも、大きく進歩したシステムだ。日本発の技術革新として、グローバルなAI開発コミュニティに大きな影響を与えると期待されている。
オープンソースであるため、今後はコミュニティを通じた技術の発展により、より高度な用途への応用が進むことも予想される。KIOXIA AiSAQは企業の機密情報や最新情報の活用において、重要な役割を果たすだろう。

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