AI検索のパープレキシティ、ペイパルと提携 AIエージェントによる決済を拡張

米国のAI新興企業パープレキシティAIは、米国時間2025年5月14日、ペイパルとの提携を発表した。
エージェントによる検索から購入、決済までの一連の行動が可能となる。
AIエージェントが“購入”までを代行
AIスタートアップのパープレキシティAIは、オンライン決済大手ペイパルと戦略的提携を締結した。
今回の連携では、パープレキシティが提供する生成AIエージェントが、ユーザーの代わりに商品の検索からレコメンド、さらに購入・決済までを一貫して担うことが可能になる。
これにより、エージェントコマースと呼ばれる新たな購買体験の領域において、大きな前進が見られる形となった。
また、この提携により、パープレキシティの有料版「パープレキシティ・プロ」の利用者は、米国内でペイパルまたは同社傘下の個人間送金アプリ「ベンモ(Venmo)」を用いた即時決済を利用できるようになる予定だ。
ユーザーはパスワード入力などの煩雑な手続きを省略でき、決済の煩わしさから解放される。
また、今回の連携により、パープレキシティの商取引サービスは、ペイパルが展開する約200の市場と4億3000万超のアクティブアカウントへとリーチが拡大する可能性がある。
検索とレコメンドだけでなく、購入プロセスまでを内包するサービス設計は、単なる情報提供AIとの差別化を図るうえでも有効な手段となるはずだ。
市場競争の中で見える差別化戦略
現在、OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiなどが生成AI市場をリードしているが、いずれも「情報の提供」に重きを置いており、決済までを包括的に担う構造はまだ一般化していない。
この点において、パープレキシティの戦略は独自性が際立っている。
検索から購入までをノンストップで完結できるというアプローチは、利便性の高さだけでなく、サービス利用の頻度向上にもつながる可能性がある。
一方で、決済機能の統合は、セキュリティや個人情報の扱いといった課題も孕む。
信頼性の高いペイパルとの連携は、その懸念を抑制しつつ、ユーザーの心理的ハードルを下げる効果が期待されている。
特にベンモのような若年層に人気のあるアプリの導入は、次世代の利用者層を取り込む布石とも捉えられる。
パープレキシティの今回の連携には、AIエージェントによる商取引の自動化によって、Eコマース全体のプロセスに影響を与える可能性がある。
現在は「検索+購入」という段階的なプロセスが一般的だが、購入のプロセスをAIによって自動化させる可能性が現実味を帯びてきた。
ただし、そのためにはいくつかの課題を乗り越える必要があると思われる。
まず、AIによる判断過程の透明化と説明責任の強化は必須だろう。
また、ユーザーが「何を任せるか・任せないか」を選択できる設計が求められる。
国際展開においては、地域ごとの法制度や文化的な購買習慣への対応が不可欠となっていくだろう。