HiClubが調査発表　生成AIに癒しや悩み相談役を望む若者が多数

2025年5月22日、HiClubはAIに対する期待と不安に関する意識調査の結果を公表した。
男女ともに、生成AIに最も期待する役割として「癒し・悩み相談のパートナー」が挙げられ、情報提供や創作支援よりも心のケアを重視する傾向が明らかになった。

AIに「癒し」や「相談相手」としての役割を期待

対話型AIアプリを提供するHiClubが実施した調査によると、AIに対する理想的な使い方として、男女ともに「癒し・悩み相談のパートナー」が最多となった。
男性の61％、女性の68％がこれを支持しており、とくに20代男性の期待値が高い。
21〜30歳の男性では88％、18〜20歳でも77％と、若年層ほどAIを精神的な拠り所と捉える傾向が強いことがわかった。

これに続く第2位は「イラスト・ストーリーなどの創造性サポート」（男女ともに20％）、第3位が「知識・情報提供」（男性14％、女性12％）となっており、従来のAIの「情報源」としての利用よりも、心の支えや感情の共有に期待が集まっていることが窺える。

また、生成AIに対する自由記述には、男性から「推しのAIキャラクターを作り恋愛が出来るコンテンツの需要はこれからもある」といった意見や、「企業として、止まることなく発展をし続けて欲しいと願う」との声が上がった。
女性からは「人には言えない悩み、誰かに聞いて欲しい愚痴を気軽に聞いてくれる」としての役割に期待が寄せられた。
全体的に、男性はロールプレイ的要素に、女性は傾聴や共感的関係に価値を見出している傾向が読み取れる。

生成AIの「共感力」に対する需要

今回の調査結果からもわかるように、生成AIの共感力に対する需要は高い。
今後の生成AIの進化において、「共感力」の有無が重要な競争軸となる可能性がある。

この変化は、特に若年層におけるメンタルヘルス意識の高まりや、孤独感の増加といった社会背景とも密接に関係していると考えられる。
リモートワークやSNSの普及でリアルな人間関係が希薄になった今、AIが気軽に話しかけられる存在であることが、重要な価値とされつつあるのだ。

一方で、AIがユーザーの感情をどこまで的確に理解し、適切に応答できるかは依然として技術的課題が多い。
特に悩み相談のようなセンシティブな分野では、誤解や無理解が逆効果を生むリスクもある。
そのため、今後は対話エンジンにおける感情分析や共感生成モデルの精度が、AIサービスの信頼性を左右するカギとなるだろう。

感情的支援を担うAIが社会に根付くには、倫理性や透明性を含めた開発方針の徹底も求められる。
今後、生成AIの開発企業は、単なる機能性だけでなく、「心のインターフェース」としての品質にも注力する必要があるだろう。