金融庁、暗号資産業における「プロ向け」の販売を規制へ

2025年2月26日、金融庁は日本国内の暗号資産交換業者に対する新たな規制案を公表した。この改正案は特に「プロ向けトークン販売」(企業が発行する暗号資産を適格機関投資家に対して販売し、資金調達を行う手法)に関する規制強化を目的としており、適格機関投資家への販売ルールの明確化が図られている。
新規制の詳細とその背景
暗号資産市場は急速な成長を遂げているが、ICOやトークン販売に関する規制が不十分であったため、投資家保護の観点から新たな規制の必要性が高まっていた。
そこで金融庁は、過去の取引所破綻や詐欺事件を教訓に、より厳格な規制の導入を決定した。
今回の改正案では、プロ向けトークン販売が企業による適格機関投資家からの資金調達手段として位置づけられている。暗号資産交換業者は日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の自主規制規則に従い、詳細な届出を行う義務がある。
さらに取り扱う暗号資産の名称には「プロ向け」という文言を含める必要があり、一般投資家とプロ向け投資家を明確に区別することが求められる。
一般投資家への販売には新たな届出が必要であり、投資家が暗号資産を他者に移転する際の制限措置も明確化されている。
金融庁は改正案に対する意見を2025年3月27日まで募集しており、業界関係者や一般投資家からのフィードバックを受け付け、最終的な規制内容を決定する予定だ。
新規制の影響と業界の反応
新たな規制により投資家保護の強化や市場の透明性向上が期待される一方、業界関係者からは賛否両論の声が上がっている。一部では投資家保護の観点から歓迎する意見があるが、他方で規制が厳しすぎるとの懸念も示されている。
今回の規制案は、投資家保護を強化する方向性として一定の意義がある。しかし、規制の厳格化により、国内市場の競争力低下を招く可能性がある点は無視できない。
このため、今後は規制強化と市場の発展を両立させるバランスの取れたルール整備が求められるだろう。
特に、プロ向けトークン販売に関しては、適格機関投資家の定義をさらに精緻化し、投資家ごとのリスク許容度に応じた規制の適用を検討する余地がある。また、規制が過度に市場を萎縮させることのないよう、事業者にとっての負担を最小限に抑えるための措置も必要となるだろう。
さらに、日本市場が厳格な規制により魅力を失うことを防ぐため、国際的な規制動向との整合性を図ることが重要だ。他国では、暗号資産に対して比較的柔軟な規制を導入しているケースもあり、日本が過度に規制を強化すれば、国内の暗号資産関連企業が海外へ流出するリスクが高まる。
金融庁は、投資家保護と市場成長のバランスを考慮しつつ、規制の適用範囲や運用方法について慎重な調整を続ける必要があるだろう。
今後のフィードバック次第では、一部の要件が緩和される可能性もある。特に業界関係者の意見がどの程度反映されるかが、最終的な規制の方向性を大きく左右することになりそうだ。
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