米経済メディアCoinDeskは2025年2月21日、米連邦保安官署（USMS）が押収した仮想通貨の管理体制に深刻な問題を抱えていることを明らかにした。
USMSは、押収したビットコインの正確な保有額を把握できておらず、資産管理における大きな課題となっている。

USMSの仮想通貨管理体制における問題点

USMSの仮想通貨管理体制における問題点は多岐にわたる。
まず、資産の追跡が困難である点だ。USMSは、押収した仮想通貨の正確な数量を把握できていない状況にあり、これにより資産の管理が困難になっている。特に、手動でExcelスプレッドシートを用いて管理するのは、効率的な追跡ができていないと報告されている。

また、セキュリティの欠如も指摘されている。2022年の監査報告書では、USMSの仮想通貨管理におけるセキュリティの欠如が指摘されており、特にウォレットの管理が不十分であることが明らかになった。これにより、資産が不正アクセスのリスクにさらされる可能性がある。

問題がUSMSや政府の仮想通貨管理に与える影響と今後の展望

USMSの仮想通貨管理体制の問題は、信頼性を損なう可能性があり、政府の仮想通貨政策全体に悪影響を及ぼす恐れがある。
今後、USMSはデジタル資産管理の専門技術を導入せざるを得ないだろう。
具体的には、ブロックチェーンを活用したリアルタイムの追跡システムや、コールドウォレットによる資産の安全な保管などが求められる。また、外部の専門家と連携し、仮想通貨の特性に即した管理体制の整備が急務となる。

同時に、法規制の強化も進むと考えられる。現在、仮想通貨に関する規制は米国でも一貫性に欠けるが、今回の問題を受けて、政府機関によるデジタル資産の管理基準が明確化される可能性がある。
特に、管理体制の不備が資産の消失や不正流出につながった場合、責任の所在を明確にする必要があるだろう。そのため、監査体制の強化や、厳格な管理基準の策定が進むことが予想される。

この問題が契機となり、政府機関における仮想通貨管理の在り方が大きく変わる可能性がある。適切な対策が講じられなければ、USMSのみならず、政府全体のデジタル資産政策が揺らぐことになりかねない。
今後の対応次第で、米国の仮想通貨規制の方向性は大きく左右されることになるだろう。

※米連邦保安官署（USMS）：米国の司法省に属する法執行機関であり、連邦裁判所の執行、逮捕状の執行、逃亡者の追跡、および連邦政府の財産の保護などの任務を担う。

※ビットコイン：仮想通貨の一種であり、分散型のデジタル通貨として知られる。