ハレックス、生成AI向け気象データAPIを提供開始 信頼性と連携性を重視した次世代対応

気象データ提供会社である株式会社ハレックスは2025年4月1日、生成AIで気象データを利用するためのAPIを提供開始した。
生成AIの実用精度を支える、ハレックスの気象データAPIとは何か
ハレックスが新たに開始した生成AI向けの気象データAPIは、生成AIによる出力の信頼性向上を狙いとしたサービスである。
同社は2012年から気象データのAPI提供を行ってきた実績があり、これまで蓄積されたノウハウを活かすかたちで、AI活用領域における精度強化を目指している。
今回のAPIでは、RAG(※1)と呼ばれる情報検索強化型の生成技術を活用することで、開発環境において即時に実証実験を始められる構成となっている。導入ハードルを下げ、迅速なテストが可能になる点が特徴だ。
さらに、気象データは3次メッシュコード単位で管理されており、他の地理情報や災害情報、人口統計などの外部データとの統合がしやすい設計となっている。これにより、柔軟なユースケース展開が期待される。
特筆すべきは、利用者側が自ら気象データを更新したり、大規模言語モデル(LLM)にデータを学習・保持させたりする必要がない点だ。最新の気象データへの更新作業はすべてハレックスが担うため、ユーザーはコストを抑えつつ高精度なデータを活用できる環境を得られる。
2024年10月には、外部の生成AIサービスを用いた検証も実施され、ハレックスの気象データがAIによる出力精度向上に寄与することが確認された。この実績は、サービス信頼性の裏付けとなる。
※1 RAG(Retrieval-Augmented Generation):検索型生成手法。AIが回答を生成する際に、外部情報を検索・参照しながら文章を構築することで、精度と信頼性を高める技術のこと。
生成AI市場の拡大とハレックスの共創戦略が示す未来のビジネス機会
生成AI市場は世界的に急成長を遂げており、特に日本国内においても自治体業務、メディア、対話型AIなど多様な分野での応用が進んでいる。
なかでも気象データは、リアルタイム性と地域性が求められるユースケースにおいて不可欠な情報資源とされており、今後その需要は一層高まる見込みだ。
ハレックスはこの潮流を捉え、今後はSDV市場(※2)や、カスタマーサポートやコンシェルジュ業務に活用される対話型AIエージェント市場にも展開していく方針を示している。
これにより、AIが天候に応じて最適な判断や対話を行うといった、リアルタイム制御やナビゲーション分野への応用が見込まれる。
同社はまた、生成AI関連企業やサービス事業者との共創体制を重視しており、技術提供のみならず、パートナーとともに新たなユースケースの開拓に取り組む姿勢を鮮明にしている。
こうした連携を通じ、今後3年以内に売上20億円を達成するという目標を掲げている。
データ利活用の高度化が加速する現在において、気象データのようなリアルタイムかつ信頼性の高い情報が果たす役割は大きい。ハレックスの取り組みは、AIビジネスの競争力強化に資する基盤整備として注目される。
※2 SDV(Self-Driving Vehicle):自動運転車両の略称。センサーやAI技術を用いて自律的に走行・判断を行う次世代モビリティの一種。