SNS投稿の「炎上」リスクをAIで事前チェック　弁護士ドットコムが新ツールを試験提供

2025年4月7日、弁護士ドットコム株式会社は、SNS投稿の「炎上」リスクを事前に評価するアプリ「AI炎上チェッカー」のクローズドβテストを開始した。
このアプリは、投稿内容をAIが解析し、攻撃性、差別性、誤解を招く表現の3つの観点から評価するものだ。

「AI炎上チェッカー」の機能と開発背景

「AI炎上チェッカー」は、ユーザーがSNSに投稿する前に、その内容をAIが解析し、攻撃性、差別性、誤解を招く表現の3つの観点から5段階で評価するアプリである。
問題がある可能性のある言葉は赤字で表示され、評価の理由も提示される。これにより、ユーザーは投稿前に内容を見直し、炎上リスクを低減できる。

アプリの開発背景には、近年深刻化するSNS上での誹謗中傷や炎上問題がある。
2025年4月には「情報流通プラットフォーム対処法」が施行され、SNS運営事業者に対し、被害者への迅速な対応が義務付けられた。これにより、SNS利用者一人ひとりにも、インターネット上の言動に対する責任がより強く求められるようになった。

2024年12月に弁護士ドットコムが実施したアンケート調査によると、誹謗中傷を行った経験のある回答者の約5割が、自らの投稿が誹謗中傷に該当するとは認識していなかったという。
この結果から、多くの人が無意識のうちに他者を傷つける投稿を行っている可能性が示唆されている。
「AI炎上チェッカー」は、こうした無自覚な投稿によるトラブルを未然に防ぐことを目的としている。

クローズドβテストの概要と今後の展望

「AI炎上チェッカー」のクローズドβテストは、2025年4月7日から4月18日まで実施される。
対象者は、インフルエンサーや企業の経営者、広報、PR、法務部門の担当者、メディア関係者など、多岐にわたる。テスト参加者は、実際の投稿フローにおいてアプリの有用性を検証し、フィードバックを提供することが求められている。

このβテストを通じて、弁護士ドットコムはアプリの回答精度向上やユーザーインターフェースの最適化、必要な機能の強化を図る予定である。

SNS上での炎上や誹謗中傷は、個人や企業の信頼性を損なうだけでなく、法的責任を問われるリスクも伴う。
「AI炎上チェッカー」のようなツールは、ユーザーが投稿前にリスクを評価し、適切な表現を選択する手助けとなるだろう。​SNS上でのトラブルを未然に防ぐだけでなく、健全なコミュニケーション促進への寄与が期待できる。

さらに、SNS事業者が法的義務を果たす中で、ユーザー自身が自己検閲を強化することで、インターネット上の誹謗中傷や炎上問題の減少が見込まれる。​SNS上でのトラブルを未然に防ぐ一助となることが期待される。