カメラと映像解析AIで交通量調査、渋滞解消へ セーフィーとセフテックが群馬県で実証

クラウド録画サービスを提供するセーフティーは2025年4月7日、群馬県、総合建設コンサルタントの技研コンサル、工事用の保安用品などを提供するセフテックと協業し、カメラと映像解析AIを融合させた調査サポートサービス「Safie Survey(セーフィー サーベイ)」を活用した実証実験を実施すると発表した。
太田市で開始された交通量調査、AI技術がリアルタイム解析を担う
4月7日〜25日の間、太田市を走る国道407号において、クラウド型映像解析技術を活用した交通量調査の実証実験が行われる。平日朝夕に発生する渋滞の緩和を狙う。
使用されているサービス「Safie Survey」は、設置したカメラが映像データをクラウドにアップロードし、AIが車両の動きをリアルタイムで解析する仕組みである。
この解析結果をもとに、国道沿いに設置された電光掲示板へ混雑状況が表示される。目的地を通過点とするだけの車両には迂回を促し、局所的な交通集中の抑制を図る。
群馬県が今回の実証実験に乗り出した背景には、2040年にかけて到来する「8掛け社会」への備えがある。国の予測では、15〜64歳の生産年齢人口が現在の約80%にまで減少するとされており、各自治体にとって限られた人的リソースで持続可能な行政運営を実現することが喫緊の課題となっている。
交通量調査も例外ではなく、従来型の調査員配置ではカバーしきれない範囲が拡大している。
本実験はそうした課題に対する一つの解であり、群馬県が推進する「限られた人員・財源を活用するDX戦略」に即した取り組みだと言える。
データドリブンな交通対策の可能性
AIを用いた映像解析は、データに基づいた都市計画や道路整備にもつながる可能性を秘めている。
とりわけ本件のように、リアルタイム性と公共情報の即時提供が求められる分野では、AIの導入効果が顕著に表れるだろう。
一方、AI解析の精度には限界があり、天候や照度によっては誤認識が発生する懸念がある。
加えて、クラウドカメラによる常時監視にはプライバシー保護の観点から慎重な運用が求められる。
今後は、実証実験の成果を踏まえて、県内他地域への展開や、高速道路・幹線道路との連携を視野に入れた次世代型交通インフラの整備が期待される。
単なる渋滞対策を超えた、都市のスマート化に向けた第一歩と見る向きもある。