リコーITソリューションズ、長崎に新拠点開設 AI・IoT開発の中核に

2025年4月3日、リコーの子会社であるリコーITソリューションズが、長崎市に新たに開設した「長崎事業所」の開会式を開いた。AIやIoT開発を担う国内8カ所目の拠点であり、リモートワークを前提とした新しい働き方を実践する計画だ。
文化と先端技術が交差する長崎に新拠点、AIとIoT開発の要所に
リコーITソリューションズが開設した長崎事業所は、長崎市御船蔵町に位置し、約500平方メートルのオフィススペースを有する。
国内では8番目となる同社の拠点であり、最先端技術を活用した研究開発の新たな拠点としての役割が期待されている。
開所式には、同社社長の野水泰之氏が出席。「長崎は多様な文化が融合した地域であり、この地から世界に向けて新しい価値を創出していきたい」と語った。野水氏は、長崎の文化的背景やグローバルな視点を活かした開発拠点としての意義を強調している。
同事業所では、主に人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)分野におけるソフトウェア開発を担う。
現在は11人の社員が勤務しており、今後4年間で新たに55人を採用する計画である。地元大学の出身者を中心に人材を集め、長崎に根ざしたIT人材の育成と活用を進めていく方針だ。
リモートワークと離島勤務が可能に、長崎発の分散型働き方モデル
長崎事業所のもう一つの特徴が、リモートワークの徹底である。リコーITソリューションズでは現在、全社員の出社率は約10%にとどまっている。
オフィスに通勤しない働き方が標準化されており、長崎の離島である五島や壱岐といった地域に住む社員でも、業務に支障なく勤務できる体制を整えつつある。
同社の経営企画本部長・木村寛氏は「五島や壱岐などの離島でも、社員が快適に働けるような体制を整えていきたい」と述べ、地理的制約を超えた雇用環境の実現に意欲を示した。
これは、都市部への一極集中を是正し、地域分散型の人材配置を可能にする新たなモデルとして注目される。
また、長崎という地域が持つ歴史的背景も、同拠点の展開において無視できない要素だ。西洋や中国文化の影響を受けながら発展してきた土地柄は、多様性と国際性に富んだ視点を育む土壌といえる。
この文化的基盤の上に、先端技術とリモートワークを融合させた新しい働き方が築かれようとしている。