NVIDIAが明かした「Switch 2」専用コアの正体 次世代ゲーム体験への布石

2024年4月3日(米国時間)、NVIDIAは任天堂が発表した新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」に搭載されるGPUについて、公式ブログで詳細を公開した。AI技術による高画質化やリアルタイムレイトレーシング対応が明らかとなり、携帯機でも次世代のゲーム体験が可能になる見通しだ。
DLSSとRTコアの搭載がもたらす次世代グラフィックス体験
最大の注目点は、「GeForce RTX」シリーズにも採用されているAI技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling ※)」への対応だ。これは、GPUに内蔵されたTensorコアによって実現されるもので、AIがゲーム映像をリアルタイムで解析・補完することで、解像度を高めながら滑らかな映像を描写する。
これにより、ハードウェア負荷を抑えつつ、見た目には高解像度と変わらない美しさを提供できるようになる。
さらに、Switch 2のGPUには「RTコア」と呼ばれる専用のレイトレーシング演算用コアも搭載されている。これにより、光や影、反射といった要素のリアルな描写が可能となり、従来よりも没入感の高いゲーム体験が実現される。
これはコンソール機としては非常に珍しい仕様であり、携帯ゲーム機としては画期的な一歩と言えるだろう。
加えて、Tensorコアは映像処理の用途にとどまらず、ビデオチャットにおいてもAIによる顔追跡や背景除去を可能にするという。これは、ソーシャルゲームやゲーム実況といったコンテンツにおける活用が想定されており、ストリーミング分野においてもSwitch 2が存在感を高めることになりそうだ。
また、携帯モードにおいても「可変リフレッシュレート」を実現するとしており、これは同社の「G-Syncテクノロジー」によるものだ。映像のカクつきを抑え、スムーズなゲームプレイが可能になるとされている。
※DLSS(Deep Learning Super Sampling):NVIDIAが開発したAIによる映像アップスケーリング技術。実際の解像度よりも高品質な映像をAIが生成し、パフォーマンスと画質の両立を図る。
今後の展望
こうしたハードウェア的進化は、単なるスペックの強化にとどまらず、ゲームプレイの幅を広げる要素として注目される。例えば、従来は据え置き機やPCゲームに限られていた高精度なレイトレーシング描写が、外出先でも楽しめるようになるという点は、ゲーマーのライフスタイルを大きく変える可能性を秘めている。
また、AIによる映像処理や背景除去機能は、配信者やゲーム実況者にとって強力なツールとなりうる。ビジネスパーソンやクリエイターにとっても、プレイ映像を手軽に配信・編集できる環境が整うことで、新たなマーケットの拡大も期待できそうだ。
ゲーミング技術とAI処理の融合は、エンタメとテクノロジーの境界を曖昧にし、次世代のゲーム体験を一般ユーザーにも浸透させていくだろう。
NVIDIAブログ記事:
https://blogs.nvidia.co.jp/blog/nintendo-switch-2-leveled-up-with-nvidia-ai-powered-dlss-and-4k-gaming/