AIでイチゴの収穫を自動化　福岡市がスマート農業推進プロジェクトの成果を公開

2025年4月3日、福岡市が推進する「スマート農業マッチングプロジェクト」の報告会が同市西区で行われ、AIによるイチゴ判定ロボットの実演が話題を呼んだ。国内の農業課題に対応する先端技術の導入が進められている。

AIとロボット技術が地域農業に革新　福岡市のマッチング型支援プロジェクト

福岡市は、労働力不足や高齢化が進む日本の農業課題に対応するため、AIやロボット技術の導入を推進する「スマート農業マッチングプロジェクト」を展開している。その一環として、2025年4月3日に市内西区の農園で成果報告会を開催した。
このプロジェクトは、テクノロジー企業と地域生産者の連携を促進し、農作業の効率化と生産性向上を支援することを目的としている。

今回の報告会では、AIによるイチゴの色判定と自動収穫機能を備えたロボットの実演が注目を集めた。AIが熟したイチゴの色を精密に識別し、収穫に適した実のみを選定して摘み取る仕組みだ。
従来は熟練者の目視と手作業に頼っていた収穫作業だが、同ロボットの導入により、作業の省力化と人為的ミスの軽減が可能になるという。

現地では福岡市の高島宗一郎市長もデモンストレーションに立ち会い、「おおっ、採れた！一番デリケートな赤い実のところを触っていない」と感嘆の声を上げた。
また、ロボットを開発したアイナックシステムの稲員由紀氏は「この技術が畑や農園に広がることで、地域全体が豊かになっていけば」と語り、技術普及への期待を示した。

持続可能な農業への一歩　テクノロジーが地方経済と生産現場に与えるインパクト

福岡市のプロジェクトは、単なる実証実験にとどまらず、地域の農業に持続的な変化をもたらす可能性がある。
市の担当者は、今後さらにプロジェクトのPRに注力し、より多くの生産者と技術提供企業との連携を促進する方針を示している。
現場では、導入済みの技術が農作業の負担を軽減し、生産性の向上を実現しつつあるという。

特にイチゴのように収穫時期の見極めが難しい作物においては、AI判定と自動収穫の組み合わせが大きな効果を発揮する。これにより、品質の均一化や人材確保の課題解決が進むと期待されている。
一方で、導入コストや技術習得への壁といった課題も存在し、継続的な支援体制の構築が求められている。

日本各地で同様の取り組みが進む中、福岡市のように自治体がマッチングのハブとなるモデルは、他地域への展開にも有効と考えられる。
スマート農業は地方創生や食料自給率の向上にもつながるテーマであり、今後の技術進化と政策支援の動向に注視が必要だ。